作成日:2026.10.29
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制度・政策・審議会
※本記事は、作成日または最終更新日時点で公表されている制度情報・数値・資料に基づいて作成しています。
特高の接続検討は11月から負担可能上限額を記入、超えれば連系否で検討料は戻らない
特別高圧で系統用蓄電池を計画している事業者は、11月から接続検討を申し込む時点で「工事費をいくらまで負担できるか」を書くことになる。電力広域的運営推進機関(OCCTO)は10月29日、接続検討申込書【特別高圧】の新様式(様式AK1特高-202611)を公開した。様式1に負担可能上限額と、特高送電系統の増強を含む回答を受け入れるかどうかを選ぶ欄が加わった。上限を超える結果や、受け入れないとした増強が要る結果は連系否として返り、検討料は返金されない。
CONTENTS目次
何が起きたか:OCCTOは10月29日、第7回次世代電力系統ワーキンググループ(2026年2月9日)で議論された「接続検討の早期化に資する運用変更」を特高の様式に反映し、2026年11月から運用すると公表した。接続検討申込書【特別高圧】の様式1に(8)負担可能上限額と(9)特高送電系統の増強を含む回答の受容性有無が加わった。
なぜ重要か:検討の結果が上限額を超える場合と、「受容性無」を選んで増強が必要と判断された場合は、どちらも連系否(連系不可)と回答され、検討料は返金されない。
何をすべきか:11月以降に特高の接続検討を申し込むなら、事業計画から逆算した工事費の上限額(税込み)と、増強を含む回答を受け入れるかを申込み前に決める。蓄電池は様式2の充電制限の適用希望と合わせて考える。
様式1に2つの欄が加わり、11月から運用
OCCTOのお知らせは短い。第7回次世代電力系統ワーキンググループ(2026年2月9日)で議論された「接続検討の早期化に資する運用変更」を特高様式に反映し、2026年11月より運用を開始する、という内容だ。お知らせが書いているのは月までで、日付はない。同じ日に更新された様式集の更新履歴では、この変更の日時欄が2026年11月1日になっている(更新履歴 p.1)。
変わったのは接続検討申込書【特別高圧】の様式1で、(8)と(9)が追加された。記載例(太陽光・蓄電池・蓄電池併設)の様式1では、(8)が「負担可能上限額(消費税等相当額含む)」、(9)が「連系地点における最大の受電電力または最小の受電電力が全量連系できない場合の特別高圧の送電系統の増強を含む接続検討回答の受容性有無」で、(9)は選択式になっている(記載例 p.1)。
上限額の書き方について、記載例の吹き出しはかなり踏み込んでいる。連系に必要な工事に対し、事業計画(事業採算性等)から許容される最大限の額を書くよう求める。そのうえで、事業計画から許容される金額より大きな金額や現実的ではない金額を書くと、申込者の事業計画と合致しない検討結果になる可能性がある、とも書く。上限額がはっきりしない場合は「事業計画を進める上で支障のない範囲で」記入するよう案内している(記載例 p.1)。
上限額の目安になる数字は、資料のどこにもない。記載例の金額欄には「999,999,999 円」という記入例の数字が入っているだけだ。参考として「送変電設備の標準的な単価の公表について」が挙げられているものの、標準的な単価は工事費負担金とは異なり、増強工事の規模感をつかむための参考値だと注意書きが付いている(記載例 p.1)。
今回の変更は特別高圧が対象で、高圧の申込書は含まれない。同時に、記載例(火力)と記載例(風力)にも様式1の(8)(9)が加わり、回答書側では記載例【別添(特別高圧)】の3(1)が追記された(更新履歴 p.1)。回答書の記載例は本稿では読んでおらず、3(1)の書きぶりは未確認である。
「連系否」で検討料が戻らない2つの条件
連系否になる道は2つある。1つ目は上限額の超過で、注記※3は次のとおりだ。
※3:接続検討の結果、ご提示いただいた負担可能上限額を超過する場合は、申込者の希望を満たしていないことから、「連系否(連系不可)」として回答いたします。なお、この場合、検討料の返金はいたしません。
出典:電力広域的運営推進機関「記載例(太陽光・蓄電池・蓄電池併設)様式AK1特高-202611」p.12つ目は、(9)で「受容性無」を選んだ場合だ。検討の結果、特別高圧の送電系統の増強が必要と判断されれば、これも連系否で、検討料は返金されない(※6)。増強が必要ではなかった場合は通常の回答になる(記載例 p.1)。
※6にはもう1つ、読み落としやすい一文がある。新規の特高送電系統の増強がなく、使用開始後3年以内の送電系統を利用して連系すると判断された場合は、受容性の有無にかかわらず、負担可能上限額で連系可否を判断する。最近増強されたばかりの系統に乗る案件では、「受容性無」を選んでいても、費用が上限額に収まるかどうかで結論が決まることになる。
連系否には申込者側の利点もある。記載例は、連系否となる場合の回答内容は簡略化され、通常よりも早期に回答できる見込みだとしている(記載例 p.1)。検討料は戻らないが、見込みの無い案件を早く見切れる。ただし、何日早くなるかは書かれていない。
増強に数えるもの、数えないもの
(9)の判断は、何を「増強」と呼ぶかで決まる。※5によると、増強とは送電系統の新設、増設、既設送電系統の容量変更のことだ。※4では、アクセス設備と、類型Ⅰに該当する既設電源アクセス線が「特別高圧の送電系統」から除かれている(記載例 p.1)。
系統用蓄電池にとって大きいのは、増強の対象外とされた2つである。逆潮流側の空き容量不足に対するノンファーム型接続適用系統の増強と、蓄電池の場合の早期連系対策(N-1充電停止装置)だ(※5)。
記載例の吹き出しは、受電電力の向きごとの検討方法も書いている。最大の受電電力(逆潮流)は、原則としてノンファーム型接続を適用して検討する。最小の受電電力(順潮流)は、様式2に書いた早期連系追加対策(充電制限)の適用希望の有無にもとづいて検討し、特高送電系統の増強の有無、つまり連系可否を判断する(記載例 p.1)。
蓄電池の場合、最小の受電電力は充電側の値になる。記載例は「蓄電池の最大出力(充電側) − 自家消費最大電力」で求める例として、−9,000kW − 1,000kW = −10,000kW を挙げている(記載例 p.3)。
ここからは編集部の読みになる。放電側はノンファーム型接続が原則で、その増強は対象外とされている。そうなると、系統用蓄電池で(9)の受容性が実際に問われるのは、主に充電側で増強が要るかどうかの場面だろう。様式2で充電制限を希望するかどうかと(9)の選択は、組み合わせで考えることになる。なお充電制限は、希望しても系統の特性や既連系の蓄電池の設備容量等を踏まえて一般送配電事業者が判断するため、適用できない場合があると記載例に書かれている(記載例 p.3・p.4)。
2025年4月から数えて5回目の様式変更
接続検討の様式は、この1年半あまりで立て続けに変わっている。更新履歴から、申込書と回答書に関わる変更を拾うと次の5回になる(更新履歴 p.1)。
| 日時(更新履歴) | 変更の理由 | 主な更新対象 |
|---|---|---|
| 2025年4月1日 | 2025年4月の系統連系技術要件改定、蓄電池に対する早期連系追加対策(充電制限)の適用開始、入力利便性向上等 | 接続検討要否確認依頼書・接続検討申込書【高圧・特別高圧】ほか |
| 2025年12月15日 | 土地に関する書類の提出要件化 | 接続検討申込書【高圧・特別高圧】 |
| 2026年4月1日 | 検討回答の円滑化の追加 | 接続検討申込書【高圧】・接続検討回答書【高圧】 |
| 2026年10月1日 | 事業用地の使用権原を証する書類の提出要件化 | 接続検討回答書【高圧・特別高圧】ほか |
| 2026年11月1日 | 接続検討の早期化に資する運用変更 | 接続検討申込書【特別高圧】(様式1(8)(9)追加)・記載例3種・回答書の記載例【別添(特別高圧)】 |
申込書【特別高圧】に限ると、2025年4月1日、2025年12月15日に続く3回目の変更になる(編集部の集計)。2025年4月の改定で入った蓄電池の「早期連系追加対策(充電制限)の適用希望」欄は、新様式の様式2にも残っている(記載例 p.2〜p.4)。
系統用蓄電池の事業者が申込み前に決めること
新様式で申し込む前に、社内で決めておくことは2つある。
- 上限額。連系に必要な工事にいくらまで払えるかを、消費税等相当額を含めて決める。記載例の言う「事業計画(事業採算性等)から許容される最大限の額」だ。低く書けば連系否と検討料の損失が待ち、実態より高く書けば事業計画と合わない回答が返ってくる。
- 特高送電系統の増強を受け入れるか。受け入れないなら、増強が必要と判断された時点で連系否になる。蓄電池なら、様式2の充電制限の適用希望と合わせて決める。
上限額の決め方そのものは、資料に書かれていない。編集部は、工事費負担金を初期投資に足したときに社内の投資基準(IRRの下限など)を割り込まない額を上限とするのが筋だと考える。これは一次情報の記載ではなく、編集部の意見である。
段取りの面では、10月中に出す申込みと11月以降の申込みで様式が分かれる。社内稟議に上限額の承認を挟むなら、その分だけ申込みの準備期間が延びる。
資料からは確かめられないこと
本稿で読んだ範囲では、次の点が分からなかった。推測で埋めず、未確認として残す。
- 各一般送配電事業者が何日の申込みから新様式を求めるのか。10月までに出した申込みや、11月以降に旧様式で出した申込みをどう扱うのか(未確認)。
- 連系否の簡略回答で、通常よりどれだけ早く回答が届くのか。記載例は「通常よりも早期に回答できる見込み」とだけ書いている。
- 回答書の記載例【別添(特別高圧)】で追記された3(1)の文言(本稿では未確認)。
- 第7回次世代電力系統ワーキンググループで示された背景や数値。本稿ではWG資料を読んでいないため、OCCTOが「議論された運用変更を反映」と書いている事実だけを伝える。
運用の細部は、連系先の一般送配電事業者に申込み前に確かめるのが確実だ。
よくある質問
Q1. 接続検討申込書の負担可能上限額とは何ですか?
Q2. 新しい様式はいつから使われますか?
Q3. 「受容性無」を選ぶとどうなりますか?
Q4. ノンファーム型接続の系統増強やN-1充電停止装置も「増強」に含まれますか?
Q5. 負担可能上限額はいくらにすればよいのですか?
Q6. 高圧の接続検討申込書も今回変わりますか?
Q7. 連系否になった場合、回答は早く届きますか?
編集部の見立て
- 上限額は低すぎても高すぎても損をする。低ければ連系否で検討料を失い、高ければ自社の採算に合わない工事費を前提にした回答が返る。OCCTO自身が「実際にご負担いただける上限額」を求めているのは、この欄が事業者の本音の数字でなければ機能しないからだろう。申込みの担当者に任せず、投資判断をする人が数字を決める案件が増えるとみる。
- 系統用蓄電池では、(9)は充電側の話になりやすい。放電側はノンファーム型接続が原則で、その増強も、N-1充電停止装置も、増強の対象外とされた。残るのは順潮流側、つまり充電で特高系統の増強が要るかどうかで、ここは様式2の充電制限の希望と結び付いている。充電制限を希望するか、増強を受け入れるか、上限額をいくらにするか。3つの答えを一緒に出す必要がある。
- 早く断られることには値段が付いた。連系否の回答は簡略化され、早く返る見込みだという。検討料を払って早く見切りを付けられるなら、候補地を多く抱える開発事業者には悪くない取引だ。一方で、回答がどれだけ早まるかの日数はまだ示されていない。運用が始まった後の実績を見て判断したい。
申込みまでに何を決めるか
| 時期 | 決めること・確かめること | 根拠 |
|---|---|---|
| 10月中 | 10月中に申し込む案件と11月以降の案件を分け、各一般送配電事業者の受付の扱い(どの日の申込みから新様式か)を確かめる。資料には記載が無い | お知らせ・更新履歴 p.1 |
| 申込み前 | (8)負担可能上限額を、消費税等相当額を含めて事業計画から決める | 記載例 p.1 ※3 |
| 申込み前 | (9)特高送電系統の増強を含む回答を受け入れるか(受容性 有/無)を決める | 記載例 p.1 ※6 |
| 申込み前 | 蓄電池の場合、様式2で早期連系追加対策(充電制限)の適用を希望するかを(9)と合わせて決める | 記載例 p.1・p.3 |
| 申込み前 | 受電電力の最小値を充電側で計算する(蓄電池の最大出力(充電側) − 自家消費最大電力) | 記載例 p.3 |
| 回答受領時 | 連系否なら、上限額の超過か受容性無による増強要かを確かめ、条件を見直すかを判断する。検討料は返金されない | 記載例 p.1 ※3・※6 |
編集体制と事実確認プロセス
BESS NEWSの記事はこう作っています
- BESS NEWSは一次情報主義を採ります。官公庁・電力広域的運営推進機関・一般送配電事業者・執行団体が自ら公表した文書とページのみを出典とし、業界紙・ニュースサイト・プレスリリース配信の二次情報は出典に用いません。
- 本稿の数値・日付・条件は、OCCTOの記載例(太陽光・蓄電池・蓄電池併設、全38ページ)と様式集の更新履歴(全4ページ)の全ページからテキストを抽出して読み、該当箇所と1件ずつ突き合わせました。ページ番号はPDFの頁順(表紙なし・先頭=p.1)です。運用開始の時期はお知らせページ本文で確かめました。
- 資料に記載が見当たらない事項は「未確認」として推測で埋めていません。本稿では、各一般送配電事業者の新様式の受付開始日と旧様式の扱い、連系否の回答が早まる日数、回答書の記載例【別添(特別高圧)】3(1)の文言が未確認です。第7回次世代電力系統ワーキンググループの資料は読んでおらず、その中身は書いていません。
- 「編集部の見立て」の3項目、図2の判断の順序、系統用蓄電池では(9)が主に充電側で問われるという読み、上限額をIRRなどの投資基準から決めるという提案、様式変更の回数(5回・申込書【特別高圧】は3回目)は、編集部の解釈または集計です。
数値照合表
本文に出した主要な数値を、一次情報の該当箇所と1対1で対照した表である。
| # | 項目 | 本文の値 | 一次情報(出典・該当箇所) |
|---|---|---|---|
| 1 | お知らせの掲載開始日 | 2026年10月29日 | OCCTOお知らせ 本文冒頭 |
| 2 | 運用開始の時期 | 2026年11月より | OCCTOお知らせ 本文 |
| 3 | 更新履歴の日時欄 | 2026年11月1日 | 様式集 更新履歴 p.1 |
| 4 | 運用変更を議論した会議 | 第7回次世代電力系統WG(2026年2月9日) | OCCTOお知らせ 本文 |
| 5 | 新様式の番号 | 様式AK1特高-202611 | 記載例(太陽光・蓄電池・蓄電池併設) p.1 |
| 6 | 追加された欄 | 様式1の(8)(9) | 様式集 更新履歴 p.1/記載例 p.1 |
| 7 | (8)の金額の範囲 | 消費税等相当額を含む | 記載例 p.1 様式1(8) |
| 8 | 上限額を超過した場合 | 連系否(連系不可)・検討料返金なし | 記載例 p.1 ※3 |
| 9 | 受容性無で増強が必要な場合 | 連系否(連系不可)・検討料返金なし | 記載例 p.1 ※6 |
| 10 | 上限額で判断する例外 | 使用開始後3年以内の送電系統を利用(新規の特高増強なし) | 記載例 p.1 ※6 |
| 11 | 増強の範囲と対象外 | 新設・増設・容量変更/ノンファーム型接続適用系統の増強とN-1充電停止装置は対象外 | 記載例 p.1 ※4・※5 |
| 12 | 記載例の金額欄 | 999,999,999 円(記入例の数字) | 記載例 p.1 |
| 13 | 蓄電池の受電電力の最小値の計算例 | −9,000kW − 1,000kW = −10,000kW | 記載例 p.3 |
| 14 | 過去の様式変更の日時 | 2025年4月1日/2025年12月15日/2026年4月1日/2026年10月1日 | 様式集 更新履歴 p.1 |
| 15 | 記載例のページ数 | 38ページ | 記載例 全体 |
出典(一次情報)
- 電力広域的運営推進機関「接続検討申込書の変更に伴う新様式の公開について」(2026年10月29日 公表)
- 電力広域的運営推進機関「記載例(太陽光・蓄電池・蓄電池併設)様式AK1特高-202611」(全38ページ)(2026年10月29日 公表)
- 電力広域的運営推進機関「系統アクセス手続きで用いる様式集 更新履歴」(全4ページ)(2026年10月29日 公表)
- 電力広域的運営推進機関「系統アクセス手続きで用いる様式集」(2026年10月29日 公表の更新を反映したページ)
※二次情報(業界紙・ニュースサイト・プレスリリース配信)は出典に用いていません。
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