作成日:2026.10.13
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制度・政策・審議会
※本記事は、作成日または最終更新日時点で公表されている制度情報・数値・資料に基づいて作成しています。
系統用蓄電池補助金のFAQが3問増えた。土地取得や系統連系契約の費用は交付決定前に契約できるが、蓄電池・PCSの発注は交付決定の後
令和7年度補正「系統用蓄電システム等導入支援事業」を執行する一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が、2026年10月9日によくあるご質問(FAQ)を差し替えた。9月8日版の18問が、10月9日版では21問になっている。
CONTENTS目次
対象読者:11月4日締切に向けて申請書を作っている系統用蓄電池の開発事業者・EPC
増えた3問のうち、申請の中身に響くのは2つある。防音壁とフェンスの費用は補助の対象にならない。土地取得費や系統連系契約の費用のように、もともと補助対象外の費用なら、交付決定の前に契約や発注をしてよい。
ここで読み違えやすいのが2つ目だ。FAQが前倒しを認めたのは補助対象外の費用だけである。蓄電池やPCS(電力変換装置)のような補助対象経費については、公募要領(2026年9月)が「必ず交付決定日以降」と定めていて、今回のFAQもこれを変えていない。締切の11月4日17時必着まで、10月13日から数えて22日である。
要点まとめ
- FAQは9月8日版18問から10月9日版21問へ。追加はNo.7・No.10・No.14の3問
- 防音壁・フェンスの費用は補助対象外。フェンス工事は公募要領P.17でも対象外とされている
- 交付決定前に契約・発注してよいのは土地取得費・系統連系契約に係る費用など補助対象外の費用。蓄電池・PCSなど補助対象経費の契約・発注は交付決定日以降(公募要領P.20)
追加された3問
9月8日版と10月9日版のPDFを並べると、追加は新しい番号でいうNo.7、No.10、No.14の3問だった。残る18問は問いも回答も文言が同じで、9月8日版のNo.7以降の番号が後ろへずれただけである。
| 新No. | カテゴリー | 追加された問いと回答(要旨) | FAQが挙げる公募要領の頁 |
|---|---|---|---|
| 7 | 事業スケジュール・計画 | 複数年度事業で概算払をする場合の手続の時期 → 採択事業者に別途案内 | P.27 |
| 10 | 事業スケジュール・計画 | 土地取得費・系統連系契約に係る費用など補助対象外の費用を交付決定前に契約・発注できるか → 可能 | P.20 |
| 14 | 補助対象経費・設備 | 防音壁やフェンスは補助対象経費になるか → 対象外 | P.17 |
公募情報ページのFAQリンクには「2026年10月9日更新」の表示が付き、リンク先は R7r_kess_faq_02.pdf になっている。9月8日版は R7r_kess_faq.pdf のURLで、10月9日時点でも取得できた。
No.7:複数年度事業の概算払
No.7は、複数年度事業で概算払をする場合に、いつまでに手続をすればよいかという問いである。概算払は、各年度の事業実施分の補助金を、年度末までの実績見込みにもとづいて請求する手続だ(FAQ No.6・公募要領P.27)。回答は「詳細なスケジュール等については、採択事業者に別途ご案内いたします。」の一文だった。直前のNo.6(既存)は、年度末までの実績見込みにもとづいて概算払請求書を出すこと、詳細は採択後にSIIが指示することを説明している。
公募要領P.27は、SIIが指示する期日までに、各年度内に支払う(予定を含む)補助対象経費を報告するよう求めている。あわせて、支払額に見合う成果品(設計図書、対象設備、対象工事など)を示す必要がある。期日までに成果品がなければ、概算払を認めないことがあるという。年度をまたぐ案件では、概算払がいつ入るかを応募の時点では決められない。つなぎ資金を見込んでおきたい。
防音壁・フェンスは補助対象外
FAQ No.14の回答
防音壁やフェンスに係る費用は、本事業の実施に必要最低限の経費には該当しないため、補助対象外となります。
SII FAQ(2026年10月9日版)
フェンスについては、公募要領P.17の工事費の欄に「土地造成、整地及びフェンス工事等は、補助対象外とする。」と既に書かれている。防音壁は、公募要領にも9月8日版のFAQにも記載が見当たらず、今回のFAQで明示された。
ただし、騒音対策そのものが要らなくなったわけではない。公募要領は、電気事業法に準拠した騒音対策を実施できることを申請者の要件とし(P.10)、自主的な騒音低減対策を審査で評価する(P.39)。外すのは防音壁の費用を補助対象経費に計上することであって、対策そのものではない。防音壁の費用を見積の補助対象経費に入れていたなら、申請前に外して自己負担の側へ移し、自己資金か借入で賄う前提に置き直すことになる。
同じカテゴリーの既存の問い(No.13)は、設備設置工事に直接関与する費用(現場安全管理費など)は補助対象経費として認められる場合があり、一般管理費などは対象外だとしている。工事費の内訳を切り分けるときは、この2問をあわせて読むとよい。
交付決定前に契約してよい費用、いけない費用
FAQ No.10の回答
土地取得費や系統連系契約に係る費用等の補助対象外となる費用について、交付決定前に契約・発注することは可能です。
SII FAQ(2026年10月9日版)
交付決定は2027年1月上旬以降の予定だが、用地の売買契約や系統連系の契約に係る費用は、それを待たずに契約できる。むしろ系統連系の手続は、申請の前から進めておくものだ。連系承諾の完了は、補助事業の完了要件でもある(P.20)。
公募要領は、一般送配電事業者との系統連系申し込み状況を証明する書類を、申請時の提出書類としている(P.33)。審査では、系統連系協議の進捗と、連系時期や工事費負担金費用の確度を評価する(P.38)。これとは別に、申請者の要件には次の1項目もある(P.11)。「将来的に系統混雑緩和等に資する仕組みが整備され、その仕組みの対象エリアとして対応が必要であることが判明した場合、一般送配電事業者との協議に応じることができる者であること。」この要件が示された経緯は7月28日の記事で扱った。
一方、補助対象経費の側は扱いが逆になる。公募要領には趣旨の近い規定が3か所あり、対象の書き方はそれぞれ少しずつ違う。
| 公募要領の箇所 | 記載 |
|---|---|
| P.20 補助事業期間 | 「補助対象経費に係る契約・発注は、必ず交付決定日以降に実施すること。」 |
| P.44 補助事業の開始 | 「補助事業者は、補助事業に係る契約・発注等は必ず交付決定後に行うこと。」 |
| P.1 申請・受給される方への注意 | 「SIIから補助金の交付決定を通知する前に、既に発注等を完了させた事業等については、補助金の交付対象とはなりません。」 |
公募要領P.17が補助対象経費として挙げているのは、実施設計費、セル・モジュール・BMS(電池システム制御部分)・PCSなどの設備費、補助対象設備の設置工事費である。これらは交付決定の前に発注してはいけない。No.10は、補助対象外の費用に限ってこの順序から外れてよいと確認したもので、補助対象経費のルールを緩めたものではない。
補助対象外の範囲は、P.17のほかP.18にも書かれている。P.18は「昇圧変圧器、主変圧器等の受変電設備、保護継電器、開閉器等所内設備及び連系工事に関わる費用は補助対象外とする。」としている。FAQ No.10は補助対象外となる費用について交付決定前の契約・発注を可能としているが、受変電設備などを個別には挙げていない。P.44は「補助事業者は、補助事業に係る契約・発注等は必ず交付決定後に行うこと。」とも書いている。個別の設備や工事がどちらに当たるか迷う場合や、補助対象経費と一括で契約する場合は、SIIに確かめておくことを勧めたい。
補助対象経費について申請までに進められるのは、見積を取って業者を選ぶところまでだ。公募要領P.21の全体スケジュールは、公募期間中に3者見積を取得して業者を選定し、交付決定の後に契約・発注する流れになっている。FAQのNo.5も、公募開始前に発行された見積書で申請してよいとしている。
P.44は、補助対象外部分の工事などを一括で契約する場合でも、それぞれの実施内容と金額を明確に確認できるようにすることを求めている。補助対象経費の契約・発注や支払いが判別できないと、補助金が支払われないことがあるという。土地の契約に、補助対象となる設備や工事の発注をまとめて載せる形は避けたほうがよい。
9月18日の既報から変わったこと
9月18日の記事は、公募要領の本体を取得できず、交付決定の前に着手した費用の扱いを「未確認」としていた。今回、FAQの追加分と公募要領(2026年9月)を読み、次のように確かめた。
| 論点 | 9月18日の記事 | 今回確かめたこと |
|---|---|---|
| 交付決定前の契約・発注 | 未確認 | 補助対象外の費用(土地取得費・系統連系契約に係る費用など)は可(FAQ No.10)。補助対象経費の契約・発注は交付決定日以降(公募要領P.20)。補助事業に係る契約・発注等は交付決定後(同P.44)。交付決定前に発注等を終えた事業は交付対象外(同P.1) |
| 防音壁・フェンス | 記載なし | 補助対象外(FAQ No.14)。フェンス工事は公募要領P.17でも対象外 |
| 複数年度事業の概算払 | 記載なし | 手続の時期は採択事業者に別途案内(FAQ No.7) |
| 公募要領の本体 | 未取得 | 2026年9月版を取得して該当頁を確認 |
補助対象経費を交付決定後に発注するという規定は、10月9日に新しく加わったものではない。公募要領にもともとあり、9月18日の記事がそこまで確かめられていなかった。
締切までに確かめること
公募期間は2026年9月4日から11月4日17時必着まで。申請はJグランツで行い、あわせて申請書類一式を配送状況が確認できる手段で郵送する。公募要領P.36は、Jグランツでの入力を終えただけでは申請と認めないとしている。直接の持ち込みはできない。
公募説明会(東京・名古屋・福岡・大阪の4会場)の案内は、9月1日の記事で扱った。問い合わせは電話03-6260-6951(平日10時〜12時、13時〜17時)か、メール(k_ess_info@sii.or.jp)で受け付けている。メールは件名に【質問】と付け、公募情報ページの問い合わせシートを添付して送る。
よくある質問
Q1. FAQはいつ、何問から何問になりましたか。
2026年10月9日に更新され、9月8日版の18問が10月9日版で21問になりました。追加は3問で、ほかの問いと回答の文言は変わっていません。
Q2. 防音壁やフェンスの費用は補助の対象になりますか。
なりません。FAQ No.14は、防音壁やフェンスに係る費用は本事業の実施に必要最低限の経費に当たらないため補助対象外としています。フェンス工事は公募要領P.17でも補助対象外とされています。
Q3. 交付決定の前に土地の売買契約を結んでもよいですか。
FAQ No.10によれば、土地取得費や系統連系契約に係る費用など補助対象外となる費用は、交付決定前に契約・発注することができます。
Q4. 蓄電池やPCSなどの補助対象設備も、交付決定前に発注してよいですか。
できません。公募要領P.20は補助対象経費に係る契約・発注を必ず交付決定日以降に実施するよう定め、P.1は交付決定の通知前に発注等を完了させた事業等は補助金の交付対象にならないとしています。FAQ No.10が前倒しを認めたのは補助対象外の費用だけです。
Q5. 見積は交付決定の前に取ってよいですか。
取ってかまいません。公募要領P.21のスケジュールでは、公募期間中に3者見積を取得して業者を選定し、契約・発注は交付決定の後です。FAQ No.5は、公募開始前に発行された見積書でも申請できるとしています。
Q6. 複数年度事業の概算払はいつ手続きしますか。
FAQ No.7は、詳細なスケジュールは採択事業者に別途案内するとしています。応募の時点では時期は示されていません。
Q7. 締切はいつですか。
2026年11月4日(水)17時必着です。Jグランツでの電子申請に加えて、申請書類一式を配送状況が確認できる手段で郵送する必要があり、直接の持ち込みはできません。交付決定は2027年1月上旬以降の予定です。
編集部の見立て
追加の3問はどれも短い。それでも防音壁の1問だけで、防音壁の費用を補助対象経費に計上していた案件は見積の組み直しが要る。郵送にかかる日数を考えると、組み直しに使えるのは10月中と見ておきたい。
注意したいのはNo.10の読み方だ。「交付決定前に契約・発注することは可能です」の主語は補助対象外となる費用であって、蓄電池やPCSではない。補助対象経費の発注を前倒しすれば、その事業は交付対象から外れうる。用地造成(P.17で対象外)や、受変電設備などの事業者側の設備・工事の費用(P.18で対象外)を、蓄電池・PCSと1本の契約にまとめる案件もあるだろう。その場合は、交付決定の前にどこまで結んでよいかを、契約の単位ごとにSIIへ確かめておくのが安全だ。
編集体制と事実確認
BESS NEWSは、官公庁・市場運営機関・執行団体が自ら公表した一次情報だけを出典にしています。本記事の数値と引用は、SIIのFAQ(10月9日版・9月8日版)、公募要領(2026年9月)、公募情報ページを取得し、本文の該当箇所と突き合わせました。10月13日に公募情報ページとFAQを取得し直し、10月9日版から変わっていないことを確かめています。記載が見当たらない事項は推測で埋めていません。一括契約についての注意は、公募要領P.44の記載をもとにした編集部の見方です。
数値照合表
本文に出した主要な数値を、一次情報の該当箇所と1対1で対照させたものです。
| 本文の数値 | 一次情報の記載 | 出典(該当箇所) |
|---|---|---|
| FAQ 18問 → 21問 | 9月8日版はNo.1〜18、10月9日版はNo.1〜21 | SII FAQ 10月9日版/9月8日版 |
| FAQ更新日 2026年10月9日 | 「よくあるご質問(FAQ)(2026年10月9日更新)」 | SII 公募情報ページ |
| 防音壁・フェンスは対象外(No.14) | 「防音壁やフェンスに係る費用は、本事業の実施に必要最低限の経費には該当しないため、補助対象外となります。」 | SII FAQ 10月9日版 No.14 |
| フェンス工事は対象外(P.17) | 「土地造成、整地及びフェンス工事等は、補助対象外とする。」 | SII 公募要領 P.17 |
| 補助対象外費用は交付決定前に契約可(No.10) | 「交付決定前に契約・発注することは可能です。」 | SII FAQ 10月9日版 No.10 |
| 補助対象経費の契約・発注は交付決定日以降(P.20) | 「補助対象経費に係る契約・発注は、必ず交付決定日以降に実施すること。」 | SII 公募要領 P.20 |
| 交付決定前に発注等を終えた事業は対象外(P.1) | 「既に発注等を完了させた事業等については、補助金の交付対象とはなりません。」 | SII 公募要領 P.1 |
| 一括契約でも内容・金額を区分(P.44) | 「それぞれの実施内容及び金額等が明確に確認できるようにすること。」 | SII 公募要領 P.44 |
| 概算払の時期は採択後に案内(No.7) | 「詳細なスケジュール等については、採択事業者に別途ご案内いたします。」 | SII FAQ 10月9日版 No.7 |
| 締切 2026年11月4日17時必着 | 「2026年9月4日(金)~2026年11月4日(水)17:00 必着」 | SII 公募情報ページ 公募期間 |
| 交付決定 2027年1月上旬以降の予定 | 「交付決定は2027年1月上旬以降、行う予定です。」(公募要領P.20は「交付決定予定日:2027年1月上旬」) | SII 公募情報ページ/公募要領 P.20 |
| 受変電設備・連系工事の費用は対象外(P.18) | 「連系工事に関わる費用は補助対象外とする。」 | SII 公募要領 P.18 |
| Jグランツと郵送の両方が必要(P.36) | 「Jグランツでの必要事項の入力完了だけでは申請と認められない。必ず提出書類一式を郵送すること。」 | SII 公募要領 P.36 |
| 残り22日 | 2026年10月13日から11月4日までの日数 | 編集部算出 |
出典
- SII「よくあるご質問(FAQ)令和7年度補正 系統用蓄電システム等導入支援事業」2026年10月9日版 https://sii.or.jp/chikudenchi07r/uploads/R7r_kess_faq_02.pdf
- SII「令和7年度補正 系統用蓄電システム等導入支援事業 公募要領」(2026年9月) https://sii.or.jp/chikudenchi07r/uploads/R7r_kess_kouboyouryou.pdf(2026年10月9日取得)
- SII「公募情報(令和7年度補正 系統用蓄電システム等導入支援事業)」 https://sii.or.jp/chikudenchi07r/public.html(2026年10月9日取得)
- SII「よくあるご質問(FAQ)」2026年9月8日版 https://sii.or.jp/chikudenchi07r/uploads/R7r_kess_faq.pdf(差分確認用。2026年10月9日時点でも同じURLで9月8日版を取得できた)
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