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エネルギー業界の今を発信する系統用蓄電池(BESS)ニュース(NEWS)
通称:ベスニュース

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作成日:2026.05.08

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制度・政策・審議会

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※本記事は、作成日または最終更新日時点で公表されている制度情報・数値・資料に基づいて作成しています。

蓄電池ビジネスはどう変わる?
〜第113回部会で見えた容量市場、短期供給力、再エネ併設の新論点〜

第3回分散型エネルギー推進戦略WG申込み3,000万kWで始まる『選別』

要点まとめ

第113回で最も大きい論点は、容量市場だけでは足りない分を、実需給の直前に追加で確保する仕組みを制度化しようとしている点です。
蓄電池は、長期の待機収入だけでなく、直前の緊急供出でも役割が広がる可能性があります。ただし、新制度で蓄電池参加が正式に明記されたわけではありません。
再エネ併設案件では、電気の売上だけでなく、非化石証書という環境価値のルール変更まで見て収益計画を組む必要があります。

今回の議題はこの4本

電力市場の4つの仕組み

1.容量市場:将来の供給力を先に確保する仕組み

容量市場は、将来の電力不足を防ぐために、数年前から供給力を確保しておく制度です。
ここでいう供給力とは、いま発電している電気そのものではなく、「必要なときに電気を出せる能力」を指します。

今回の資料では、2026年度メインオークションについて、Net CONE 2.05万円/kW、上限価格3.075万円/kW、目標調達量19,581万kWという整理案が示されました。
Net CONEとは、新しく電源を建てる場合の固定費をもとにした価格指標です。
個別案件の収入を保証するものではありません。

2.短期供給力確保策:本番直前の不足に備える仕組み

短期供給力確保策は、追加オークション後、実需給1年以内に生じる需給変動に対応する仕組みとして検討されています。
わかりやすく言えば、容量市場が「数年前の予約」、追加オークションが「1年前の再確認」、短期供給力確保策が「本番直前の緊急手配」です。
新制度は容量市場を置き換えるものではなく、容量市場を補完するものとして整理されています。

3.長期脱炭素電源オークション:長期投資を支える仕組み

長期脱炭素電源オークションは、脱炭素化に役立つ電源への長期投資を支える制度です。
今回の資料では、蓄電池そのものの新ルールよりも、水素、アンモニア、CCSの支援条件見直しが中心でした。
CSSとは、CO2を回収して地下などに貯留する技術です。
また、CI値とは、燃料をつくるまでにどれだけCO2が出たかを示す指標です。
制度全体としては、設備をつくるだけでなく、燃料の低炭素性、物価変動、廃棄費用まで見る方向に進んでいます。

4.非化石価値取引:環境価値を取引する仕組み

非化石価値取引は、再エネなど非化石電源が持つ環境価値を、非化石証書として取引する制度です。
電気そのものとは別に、「この電気には非化石の価値がある」と示す仕組みです。
再エネ併設蓄電池では、電気をいつ売るかだけでなく、環境価値を誰が取得し、誰が売るのかが収益に関わります。
今回の資料に「再エネ併設蓄電池」という言葉そのものは出ていませんが、非化石価値取引の変更は、併設案件の収益設計に影響します。

なぜ新たな短期供給力確保策が必要なのか

電力不足への対応タイムライン

1.2026年度夏季に一部エリアで予備率3%を下回る見通し

今回の資料では、2026年度夏季に一部エリアで安定供給に最低限必要とされる予備率3%を下回る見通しが示されています。
予備率とは、需要に対してどれだけ供給余力があるかを示す割合です。
これを受けて、東京エリアでは120万kWのkW公募を速やかに実施する方針が示されました。
kW公募は、電力量ではなく、必要なときに出せる供給力を募集する仕組みです。

2.容量市場・追加オークション・短期策は役割が違う

容量市場は、将来の不足を防ぐために数年前から供給力を確保する制度です。
追加オークションは、実需給の1年前に不足分を補う制度です。
今回検討されている短期供給力確保策は、それでも実需給1年以内に不足が見えた場合に、エリアや期間を限定して供給力を確保する仕組みです。
全国一律・1年通しではなく、月単位・日単位で実施する案も示されています。
このため、蓄電池事業者は「どの制度で、どの時点の不足に対応するのか」を分けて考える必要があります。

3.予備電源は「準供給力」であり短期策とは別物

予備電源は、止めてある火力発電などを非常時に動かせるよう維持しておく枠組みです。
資料では、予備電源はそれ自体が供給力なのではなく、立ち上げプロセスを経て初めて供給力になる「準供給力」と整理されています。
一方、短期供給力確保策は、不足が見えたときに実際に供給力やkWhを出す仕組みに近いものです。
蓄電池の役割を考えるなら、予備電源よりも短期供給力確保策側の要件を確認する方が実務的です。

蓄電池にとって重要な制度変更の読み方

蓄電池に求められること

1.容量市場では「待機している価値」がより重要になる

蓄電池の収益は、安い時間に充電し、高い時間に放電する価格差取引だけではありません。
容量市場では、「必要なときに出せる状態でいること」自体が評価されます。
今回、Net CONEや上限価格、目標調達量の整理案が示されたことで、将来の供給力として待機する価値が改めて重要になっています。
ただし、価格指標は個別案件の確定収入ではありません。
実際の収入は、入札結果、約定価格、競争環境によって変わります。

2.追加オークションでは518万kW不足を前提に実施する方向

2027年度実需給向けの追加オークションでは、目標調達量1億9,398万kWに対し、確保済み供給力は1億8,880万kWとされました。
差分の518万kWが不足する位置にあるため、追加オークションを実施する方向が示されています。
応札受付は2026年6月3日開始、約定結果の公表は2026年7月末頃の予定です。
ここでの「予定」は資料上のスケジュールであり、実務では最新の公表内容を確認する必要があります。

3.短期供給力確保策では「その時間に何時間出せるか」が問われる

新たな短期供給力確保策では、実需給断面でkWhを拠出する考え方が示されています。
kWhとは、実際に出す電力量です。これは蓄電池にとって重要です。
単に設備がある、出力kWが大きい、というだけでは足りません。必要な時間に、どれだけ充電されていて、何時間放電できるのかが問われます。
つまり、これからの蓄電池事業では、kWだけでなく、運転継続時間がより大きな評価ポイントになります。

4.蓄電池参加は新制度では未決定、ただし現行要綱では対象に入っている

第113回資料だけを見ると、新たな短期供給力確保策に蓄電池が参加できると正式に明記されたわけではありません。
ここを「決定」と書くのは誤りです。
ただし、前身として参照される2026年度夏季追加供給力募集要綱では、対象設備に蓄電池設備、ただし放電のみ、が明記されています。
また、最低入札容量は1,000kW、指令への応動は3時間以内または条件によって24時間以内、運転継続時間は原則3時間または5時間とされています。
このため、1〜2時間程度の短時間電池は、そのままでは条件に合わない可能性があります。
これは新制度の最終要件ではなく、現行要綱から見える実務上の注意点です。

長期脱炭素電源オークションと蓄電池競争の現実

長期オークションの競争

1.水素・アンモニア・CCSは低炭素性と長期費用を見る方向

第113回の長期脱炭素電源オークション資料では、第4回入札から低炭素の水素・アンモニアを対象にする案が示されました。
また、CI値を満たした分だけ混焼率評価に反映する案も示されています。
混焼率とは、既存燃料に水素やアンモニアを混ぜて使う割合です。
単に水素・アンモニアを使うだけでなく、その燃料がどれだけ低炭素かを見る方向です。
さらに、可変費については、入札時点の価格だけでなく、調達国のCPI、つまり物価指数による補正を含め、制度期間全体の影響も見る案が示されています。

2.風力には廃棄等費用の積立てを求める案が示された

資料では、制度適用期間を40年を上限とする案、風力発電に廃棄等費用の積立てを求める案も示されました。
ただし、海洋再エネ整備法に基づく公募案件については、既存のFIT/FIP制度との整合を取り、積立て義務の対象外とする案です。
FITは固定価格買取制度、FIPは市場価格に一定のプレミアムを上乗せする制度です。
蓄電池に直接の新ルールとして示されたものではありませんが、長期制度では「つくる費用」だけでなく、「使い続ける費用」「最後に片づける費用」まで見られる方向にあります。

3.蓄電池は3時間以上6時間未満と6時間以上で競争が分かれる

OCCTOの公表資料では、長期脱炭素電源オークションにおける蓄電池・揚水について、3時間以上6時間未満と6時間以上の区分があります。
2024年度応札の制度詳細では、それぞれ75万kWの募集上限が設定されていました。
つまり、同じ蓄電池でも、3時間出せるのか、6時間以上出せるのかで競争の土俵が変わります。
蓄電池事業では、設備容量やPCS出力だけでなく、放電継続時間を最初から制度対応の中心に置く必要があります。

4.2024年度応札では蓄電池の落札率は20%だった

2024年度応札の結果では、蓄電池の応札容量は695.6万kW、落札率は20%でした。
約定容量ベースでは、3時間以上6時間未満が96.1万kW、6時間以上が76.9万kWです。
この数字が示しているのは、長期支援を狙う蓄電池市場がすでにかなり競争的だということです。
蓄電池なら何でも有利、という段階ではありません。
今後は、価格競争力に加えて、何時間出せるか、どの制度に合う設計か、落札できなかった場合の収益代替策があるかまで見られることになります。

非化石価値取引は再エネ併設案件の収益設計に効く

非化石価値と収益構造

1.2026年度の外部供出可能量は約1,270億kWh

非化石価値取引については、2026年度の確報値として、外部供出可能量が約1,270億kWh、外部調達必要量が約1,209億kWh、外部調達比率が14.8%と示されました。
外部供出可能量とは、市場などに出せる非化石価値の量です。
外部調達必要量とは、小売電気事業者などが外部から調達する必要がある量です。
再エネ併設案件では、電気の売上だけでなく、こうした非化石価値の需給も収益に関わります。

2.2025年度の非FIT証書は需給バランスが1を下回る見込み

2025年度については、アンケート結果ベースの想定需給バランスが0.90から最大0.95で、1を下回る見込みとされています。
需給バランスが1を下回るということは、必要量に対して供給が不足気味であることを意味します。
非FIT証書だけで必要量を満たしにくい可能性があるため、第4回非FITオークションではFIT証書による代替調達を認める案が示されています。

3.FIT証書による代替調達は条件付きの案

FIT証書による代替調達は、無条件ではありません。
資料では、必要調達量を1.3円/kWhで入札することを条件に、FIT証書による代替調達を認める案が示されています。
一方、FIT市場側はなお供給超過とされています。
2025年度最終オークション時点のFIT証書売残りは約640億kWh、代替調達の想定必要量は最大約130億kWhであり、FIT市場への影響は限定的と評価されています。
ここでも、「案」「評価」「実際の取引条件」は分けて読む必要があります。

4.電気の売上と環境価値の帰属を分けて考える

再エネ併設蓄電池では、電気をいつ売るかだけでなく、非化石証書を誰が持つのかが重要です。
発電事業者、蓄電池事業者、小売電気事業者、需要家の間で、電気の売上と証書の売上が同じ人に帰属するとは限りません。
証書収益を誰が受け取り、価格変動リスクを誰が負うのかを契約で明確にする必要があります。
今回の一次情報から直接「再エネ併設蓄電池の新ルール」が決まったわけではありません。
ただし、収益設計上、電気の価値と環境価値を分けて考える重要性は高まっています。

実務担当者が確認すべきこと

実務担当者が確認すべきこと

1.確定ルールと検討案を分ける

今回の資料には、確定している内容と、今後の制度設計に向けた案が混在しています。
たとえば、2026年度夏季追加供給力募集要綱で蓄電池設備が対象に含まれていることは、現行要綱に基づく事実です。
一方、新たな短期供給力確保策で蓄電池が参加対象になるかどうかは、第113回資料だけでは正式決定とは言えません。
資金調達資料やIRでは、「既存ルール」「検討案」「予定」「参考試算」を必ず分けて書くべきです。

2.kWだけでなく継続時間を確認する

蓄電池事業では、出力kWだけでなく、何時間出せるかが制度参加の鍵になります。
現行の追加供給力募集要綱では、原則3時間または5時間の運転継続時間が示されています。
長期脱炭素電源オークションでも、3時間以上6時間未満と6時間以上で区分されています。
1〜2時間電池、3時間電池、6時間以上の電池では、狙える制度や競争相手が変わります。
設備設計の段階で、どの制度に合わせるのかを確認する必要があります。

3.再エネ併設では証書収益の帰属を決める

再エネ併設案件では、電気の売上と非化石証書の売上を分けて設計する必要があります。
特に、非FIT証書の需給バランスが1を下回る見込みであり、FIT証書による代替調達も条件付きの案として示されている以上、証書収益を自動的に楽観視するのは危険です。
誰が証書を取得するのか、売却益を誰が受け取るのか、調達不足や価格変動のリスクを誰が負うのか。
ここを契約で曖昧にしないことが重要です。

4.参考試算や価格指標を実収入と混同しない

Net CONE、上限価格、目標調達量、想定需給バランス、FIT証書の売残りなどは、制度を読むうえで重要な数字です。
ただし、個別案件の収入を保証するものではありません。
蓄電池事業者が確認すべきなのは、自社設備が制度要件を満たすか、どの市場で競争するか、落札できない場合の収益代替策があるか、証書や容量価値の収益が誰に帰属するかです。
制度資料は、収益を確定させるものではなく、事業判断の前提を確認するための一次情報として読む必要があります。

よくある誤解(Q&A)

Q

今回、蓄電池向けの新しい補助金が出たのですか。

A: いいえ。今回の中心は、容量市場、短期供給力確保策、非化石価値取引、予備電源など、市場と制度の見直しです。蓄電池専用補助金の発表回ではありません。

Q

では、蓄電池には関係ないのですか。

A: いいえ。 むしろ関係は大きいです。特に「追加オークションの後」に供給力を確保する新しい仕組みは、速く動ける電源に有利になりやすく、制度詳細しだいで蓄電池に追い風になりえます。これは資料をもとにした合理的な推論です。

Q

予備電源と短期供給力確保策は同じですか。

A: 違います。 予備電源は休止電源を維持する制度で、短期供給力確保策は、実需給直前に必要な供給力を動かす仕組みとして整理されています。資料上でも両者は別の役割として区別されています。

出典(一次情報のみ)

資源エネルギー庁「容量市場について(第113回制度検討作業部会 資料5)」

https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/jisedai_kiban/system_review/pdf/113_05_00.pdf

発行日:2026-04-03/参照日:2026-04-21

資源エネルギー庁「短期供給力確保策の在り方について(第113回制度検討作業部会 資料7)」

https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/jisedai_kiban/system_review/pdf/113_07_00.pdf

発行日:2026-04-03/参照日:2026-04-21

資源エネルギー庁「長期脱炭素電源オークションについて(第113回制度検討作業部会 資料3)」

https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/jisedai_kiban/system_review/pdf/113_03_00.pdf

発行日:2026-04-03/参照日:2026-04-21

資源エネルギー庁「非化石価値取引について(第113回制度検討作業部会 資料4)」

https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/jisedai_kiban/system_review/pdf/113_04_00.pdf

発行日:2026-04-03/参照日:2026-04-21

東京電力パワーグリッド「2026年度夏季追加供給力募集要綱」

https://www.tepco.co.jp/pg/consignment/reserve/add_supply/pdf/yoko_2026skW-j_01.pdf

公表日:2025-12-23/参照日:2026-04-21

電力広域的運営推進機関「長期脱炭素電源オークション約定結果(応札年度:2024年度)および次回オークションに向けて」

https://www.occto.or.jp/assets/iinkai/youryou/kentoukai/2025/files/youryou_kentoukai_64_03.pdf

発行日:2025-05-22/参照日:2026-04-21

監修者

監修者 青栁 福雄

青栁 福雄
Aoyagi fukuo

Energy Link 取締役 COO

系統運用・需要側制御・スマートグリッド分野の実務家。東京電力にて変電所の建設・運用・保守および大口顧客向けエネルギーソリューションに従事。マイエナジー出向時には2002年日韓ワールドカップの複数会場および国際放送センターの電源責任を担当。東光高岳では執行役員としてスマートグリッド事業を統括し、NEDO事業等に参画。2019年にEnergy Linkを創業し、分散型電源の導入・利活用を推進。

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