作成日:2026.09.03
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制度・政策・審議会
※本記事は、作成日または最終更新日時点で公表されている制度情報・数値・資料に基づいて作成しています。
受電1,000kW以上の系統用蓄電池に、1申請あたり最大40億円の補助。SIIの公募は9月4日に始まり、締切は11月4日17時必着(事業概要パンフレット案)
環境共創イニシアチブ(SII)が、令和7年度補正「系統用蓄電システム等導入支援事業」の事業概要パンフレット(案)を事業ページに載せた。PDFの最終更新日時は2026年9月1日12時35分。そこに、これまで「詳細が決まり次第公開」としか書かれていなかった日程と補助の条件が並んでいる。公募期間は9月4日(金)から11月4日(水)17時必着(予定)、補助金額の上限は1申請あたり最大40億円、対象は最大受電電力1,000kW以上の系統用蓄電システム等である。一方で補助率は「1/2以内、1/3以内又は2/3以内」と3つ並ぶだけで、どの案件にどれが当たるかは書かれていない。9月3日の時点で公募要領はまだ出ていなかった。
CONTENTS目次
何が起きたか:SIIの事業概要パンフレット(案)に、公募期間(9月4日〜11月4日17時必着・予定)、補助金額の上限(1申請あたり最大40億円)、対象(最大受電電力1,000kW以上)、補助対象経費(設計費・設備費・工事費)、事業期間(単年度は2027年2月18日まで、複数年度は最大2029年1月19日まで)が載った。
なぜ重要か:系統用蓄電池を新設する案件にとって、国の補助を受けられるかどうかは収支と資金繰りの前提を変える。締切は「必着」で、交付決定の前に契約・発注した分は補助の対象から外れる。
何をすべきか:補助率は3つの率が並記されただけなので、自社案件にどれが当たるかは公募要領で確かめる。発注の時期を交付決定の後に置けるかを、調達先と先に詰めておく。
公募は9月4日から、締切は11月4日17時必着
事業概要パンフレット(案)の2頁目「全体スケジュール」によると、公募期間は2026年9月4日(金)から11月4日(水)17時必着で、末尾に「(予定)」と付いている。表題にも「(案)」とある。日程が動く余地は書面の上では残っているが、公募説明会のほうは9月11日から始まる日程がすでに組まれていた。
説明会は東京が9月11日(金)、名古屋と福岡が9月14日(月)、大阪が9月15日(火)。東京会場は来場型に加えてオンライン配信を行う予定とされた。公募説明会ページによれば定員は東京が会場約130名とオンライン約500名、名古屋約90名、福岡約75名、大阪約90名で、エントリーの受付は9月1日に始まっている(定員に達し次第終了)。
締切の「必着」は、SIIの手元に届いている時刻という意味である。11月4日に発送すれば間に合う、という読み方はできない。一方、交付決定の日付はパンフレット(案)のどこにも書かれていなかった。
補助率と上限:案に書かれていること
パンフレット(案)の1頁目下段に、補助率・補助金額の上限・補助対象経費の3つの欄がある。補助率の欄の文言は次のとおりである。
補助対象経費の 1/2以内、1/3以内又は2/3以内
出典:SII 事業概要パンフレット(案) p.1「補助率」3つの率が「又は」でつながっているだけで、どの案件に1/2が当たり、どの案件に1/3や2/3が当たるのかは書かれていない。同じ欄の右側には「複数年度事業対象(最大3年事業)」という枠があり、交付決定から事業完了までの矢印に「1年度目・2年度目・3年度目」の目盛りが振られている。この枠は、年度をまたいで切れ目なく事業を続けられることを説明する図である。並び順が似ているため「1年度目1/2、2年度目1/3、3年度目2/3」と読みたくなるが、案の紙面からその対応は導けない。枠の下には「その他の要件や詳細については、別途公開する公募要領をご確認ください」とある。
補助金額の上限は「最大40億円」で、横に「1申請あたり」と添えられている。これは1件の申請に対する上限であって、事業全体の予算額ではない。予算額はパンフレット(案)に書かれていなかった。
対象は1,000kW以上、経費は3費目
対象事業者の欄は「各種電力市場での取引等を通じて余剰再エネの吸収や調整力の供出が可能な系統用蓄電システム等を導入する事業が対象です」と書き、注記で「蓄電システムの最大受電電力は1,000kW以上です」としている。高圧の小規模な蓄電池や低圧の案件は、この事業の対象に入らない。需要側に置く蓄電池や再エネ電源に併設する蓄電池がどの補助事業に当たるかの判別は、9月18日の続報で整理した。
補助対象経費は設計費・設備費・工事費の3つである。2頁目の留意事項には、補助で取得した設備を善良な管理者の注意をもって管理し、交付の目的に従って効率的に運用すること、稼働後に運用データ等を国またはSIIに報告すること、設備を財産処分するときは事前にSIIの承認を得ること(補助金の返還を求められる場合もある)が並ぶ。交付決定を受けた補助事業者名と事業の概要は、SIIのホームページ等で公表される。
事業期間と、発注してよい時期
事業期間は交付決定日から始まる。単年度事業は2027年2月18日(木)まで、複数年度事業は交付決定日から最大2029年1月19日(金)まで(最大3年)とされ、複数年度は切れ目なく事業を実施できると書かれている。
この図でいちばん効くのは、発注の位置である。パンフレット(案)は「契約、発注等は必ず交付決定後に行ってください」とし、交付決定の前に契約・発注等を行った場合は補助対象外になると明記している。蓄電池やPCSを先に押さえておきたい事業者ほど、ここで手順を誤りやすい。
補助金の支払いは後になる。設置・検収・支払を終えて補助事業が完了したあと、SIIに実績報告書を出し(最終期限は単年度が2027年2月18日、複数年度が最大2029年1月19日)、SIIの確定検査を経てから補助金が支払われる。工事代金はいったん事業者が払う前提で、資金の手当てを考えておく必要がある。
申請方法:パンフレット(案)の記載
パンフレット(案)の留意事項は、申請にインターネット環境が必要で、GビズIDのWebサイトでGビズIDプライムを取得したうえで、Jグランツ(電子申請システム)の内容に沿って必要事項を入力するよう案内している。案に書かれている申請方法はこれだけである。
公募開始後の公募情報ページと公募要領では、Jグランツでの申請に加えて、申請書類一式を配送状況が確認できる手段で郵送することが求められた(持ち込みは不可)。申請方法の最終的な形は9月18日の続報を見てほしい。本稿の記載は、9月3日時点のパンフレット(案)に書かれていた範囲にとどまる。
GビズIDプライムは、Jグランツを使う前提になるアカウントである。まだ持っていない事業者は、書類の中身より先にこちらの手続きを始めておきたい。案件ごとに特別目的会社(SPC)を立てている場合は、申請する法人がどこになるかも早めに決めておく必要がある。
9月3日の時点で出ていなかったもの
9月3日の時点で、公募要領の本体はまだ事業ページに載っていなかった。パンフレット(案)自身も「詳細はSIIホームページ公開の公募要領等を必ずご確認ください」と書いている。この時点で読めなかったのは、次のものである。
- 3つの補助率(1/2・1/3・2/3)がどの案件に当たるか
- 予算額
- 審査の基準と加点の中身
- 交付決定の時期
審査については手がかりがあった。資源エネルギー庁は7月28日の再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会(第3回)で、令和7年度補正の系統用蓄電池導入支援事業に必須要件1つと加点3つを設ける方針を示している(7月28日の記事)。また事業ページには、応募の要件として「GXフューチャー・リーグ会員であること」が先に掲示されていた(8月22日の記事)。いずれも、具体的な水準や書き方は公募要領で確かめるしかなかった。
その後の動き
ここからは9月3日より後の動きである(2026年10月13日時点)。SIIの新着情報によると、公募は9月4日に始まり、9月8日に申請書類と交付申請の手引き、9月18日に公募説明動画が公開された。
公募開始後にSIIが掲載している公募要領は、1-10「補助率及び補助金限度額」(p.19)で、3つの率を蓄電池の種類と最大受電電力の区分に割り振っている。年度ごとの率ではなかった。
| 区分(公募要領 1-10) | 条件 | 補助率 | 補助上限額(1申請あたり) |
|---|---|---|---|
| 長期エネルギー貯蔵技術(LDES)。リチウムイオン電池(LiB)以外の蓄電池(レドックスフロー)、水電解水素貯蔵、液化空気蓄電、重力蓄電、蓄熱 等 | 最大受電電力1,000kW以上かつ6時間容量未満 | 1/2以内 | 20億円 |
| 同上 | 最大受電電力1,000kW以上かつ6時間容量以上 | 2/3以内 | 20億円 |
| リユース蓄電池 | 最大受電電力1,000kW以上 | 1/2以内 | 20億円 |
| LiBの蓄電システム | 最大受電電力1,000kW以上10,000kW未満 | 1/3以内 | 10億円 |
| LiBの蓄電システム | 最大受電電力10,000kW以上30,000kW未満 | 1/3以内 | 25億円 |
| LiBの蓄電システム | 最大受電電力30,000kW以上 | 1/2以内 | 40億円 |
パンフレット(案)の「最大40億円」は、LiBで最大受電電力30,000kW以上の区分の上限だったことになる。予算額は1-3(p.7)で、系統用・大規模業務産業用・再エネ電源併設の3事業の合計616億円の内数、初年度分(2026年度分)は約80億円の内数とされた。完了期限には、複数年度事業のうち全体2年の場合の2028年1月19日(水)が加わり(1-11、p.20)、交付決定は2027年1月上旬の予定と示された(1-12、p.20)。
申請はJグランツでの入力と書類一式の郵送の両方が要り、Jグランツの入力完了だけでは申請と認められない(3-4、p.36)。この点と、自社案件がSIIのどの補助事業に当たるかの判別は9月18日の続報にまとめた。SIIのよくあるご質問(FAQ)が10月9日に更新され、3問が加わった件は10月13日の記事で扱っている。
よくある質問
Q1. 公募はいつからいつまでですか。
Q2. 補助率は1年度目1/2、2年度目1/3、3年度目2/3ということですか。
Q3. 上限40億円は予算の総額ですか。
Q4. どのくらいの規模の蓄電池が対象ですか。
Q5. 交付決定の前に蓄電池を発注してもよいですか。
Q6. 事業はいつまでに終える必要がありますか。
Q7. 申請はJグランツだけで済みますか。
編集部の見立て
- パンフレット(案)の補助率欄は、3つの率を並べただけの書き方だった。そこから年度別の率を読み取って収支を組むと外れる。実際、公募要領ではLiBの1,000kW以上10,000kW未満は1/3以内・上限10億円で、「1/2・40億円」が当たるのはLiBなら30,000kW以上の案件に限られた。案の段階の数字は、上限と下限の幅として持っておくのが安全だった。
- 単年度事業の完了期限(2027年2月18日)と、のちに示された交付決定の予定(2027年1月上旬)の間は短い。交付決定の後でなければ発注できないため、単年度で設置・検収・支払まで終えられる案件は限られ、多くは複数年度事業として組むことになると編集部はみている。
- 交付決定前の発注が補助対象外になる以上、蓄電池の調達は「交付決定を待ってから発注する」前提で納期を組み直す必要がある。調達先との契約条件に、交付決定を発注の条件とする条項を入れられるかが、実務の分かれ目になりそうだ。
編集体制と事実確認プロセス
BESS NEWSの記事はこう作っています
- BESS NEWSは一次情報主義を採ります。官公庁・電力広域的運営推進機関・一般送配電事業者・執行団体などが自ら公表した文書とページのみを出典とし、業界紙・ニュースサイト・プレスリリース配信の二次情報は出典に用いません。
- 本稿の本文(「その後の動き」より前)は、SIIの事業概要パンフレット(案)PDF(2頁)と公募説明会ページにもとづきます。パンフレット(案)のPDFは2026年10月13日に取り直し、サーバの最終更新日時が2026年9月1日のまま変わっていないことを確かめたうえで、2頁すべての記載と本文を突き合わせました。
- 補助率の欄は紙面の配置まで確認し、「1年度目・2年度目・3年度目」が補助率の欄ではなく複数年度事業の説明図に属することを確かめています。
- 「その後の動き」は、2026年10月13日にSIIの公募要領・公募情報ページ・新着情報を取得して確かめた内容です。
- 「編集部の見立て」は一次情報の事実にもとづく編集部の解釈で、確定的な見通しではありません。
数値照合表
本文に出した主要な数値と記載を、一次情報の該当箇所と1対1で対照した表である。9〜13は「その後の動き」で使った、9月3日より後に公開された資料の記載である。
| # | 本文の数値・事実 | 一次情報の記載 | 出典(該当箇所) |
|---|---|---|---|
| 1 | 公募期間 9月4日(金)〜11月4日(水)17時必着(予定) | 「9月4日(金)~11月4日(水)17:00必着(予定)」 | パンフレット(案) p.2 全体スケジュール |
| 2 | 補助率は3つの率を並記 | 「補助対象経費の 1/2以内、1/3以内又は2/3以内」 | パンフレット(案) p.1 補助率 |
| 3 | 上限 1申請あたり最大40億円 | 「最大 40億円 1申請あたり」 | パンフレット(案) p.1 補助金額の上限 |
| 4 | 対象は最大受電電力1,000kW以上 | 「※蓄電システムの最大受電電力は1,000kW以上です。」 | パンフレット(案) p.1 対象事業者 |
| 5 | 補助対象経費は設計費・設備費・工事費 | 「設計費、設備費、工事費」 | パンフレット(案) p.1 補助対象経費 |
| 6 | 単年度は2027年2月18日まで、複数年度は最大2029年1月19日まで | 「交付決定日から2027年2月18日(木)まで」「※複数年度事業は、交付決定日から最大2029年1月19日(金)まで」 | パンフレット(案) p.2 事業期間 |
| 7 | 交付決定前の契約・発注は補助対象外 | 「交付決定前に契約、発注等を行った場合は補助対象外となります。」 | パンフレット(案) p.2 全体スケジュール |
| 8 | 説明会 東京9/11・名古屋9/14・福岡9/14・大阪9/15、東京は会場約130名+オンライン約500名 | 9月11日(金)東京、9月14日(月)名古屋・福岡、9月15日(火)大阪。東京「約130名」「オンライン配信 約500名」 | 公募説明会ページ/パンフレット(案) p.2 |
| 9 | LiB 1,000kW以上10,000kW未満は1/3以内・10億円、30,000kW以上は1/2以内・40億円 | 「最大受電電力が1,000kW以上10,000kW未満 1/3以内 10億円」「最大受電電力が30,000kW以上 1/2以内 40億円」 | 公募要領 1-10 p.19 |
| 10 | LDES 6時間容量以上は2/3以内・20億円 | 「最大受電電力が1,000kW以上かつ6時間容量以上 2/3以内 20億円」 | 公募要領 1-10 p.19 |
| 11 | 予算額 3事業合計616億円の内数、初年度分約80億円の内数 | 「合計616億円の内数」「初年度分(2026年度分)の予算額は、約80億円の内数とする」 | 公募要領 1-3 p.7 |
| 12 | 交付決定は2027年1月上旬の予定 | 「交付決定予定日:2027年1月上旬」 | 公募要領 1-12 p.20 |
| 13 | Jグランツ入力だけでは申請と認められず、書類一式の郵送が必要 | 「Jグランツでの必要事項の入力完了だけでは申請と認められない。必ず提出書類一式を郵送すること。」 | 公募要領 3-4 p.36 |
出典(一次情報)
- SII「令和7年度補正 系統用蓄電システム等導入支援事業」事業概要パンフレット(案)(PDF・2頁)(2026年9月1日 掲載。サーバの最終更新日時による)
- SII「令和7年度補正 系統用蓄電システム等導入支援事業」公募説明会(2026年9月1日 エントリー受付開始)
- SII「令和7年度補正 系統用蓄電システム等導入支援事業」事業トップ
- SII「令和7年度補正 系統用蓄電システム等導入支援事業」公募情報
※二次情報(業界紙・ニュースサイト・プレスリリース配信)は出典に用いていません。「その後の動き」で触れた公募要領は、本文中にリンクを置いています。
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