作成日:2026.07.01
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※本記事は、作成日または最終更新日時点で公表されている制度情報・数値・資料に基づいて作成しています。
容量市場2030年度のルール案が意見募集へ ― 発動指令電源の応札枠はH3需要の5%、価格はシングルプライスに
OCCTOは2026年6月30日、実需給2030年度を対象とする容量市場メインオークション募集要綱案と容量確保契約約款案を公表し、7月13日まで意見を募った。応札枠の拡大と価格決定方式の変更が、蓄電池の参加機会と収益前提の両方に効く。
このページの要点
- OCCTOが2026年6月30日、実需給2030年度の容量市場メインオークション募集要綱案と容量確保契約約款案を公表し、7月13日まで意見を募集した
- 発動指令電源の応札上限容量がH3需要の4%から5%へ拡大され、追加オークションで調達予定だった2%分をメインオークションで全量調達する
- 指標価格の見直しに伴いマルチプライス方式が解除され、シングルプライス方式で約定処理される
出典:OCCTO 容量市場メインオークション募集要綱(対象実需給年度:2030年度)案、容量確保契約約款(対象実需給年度:2024-2029年度/2030年度以降)案(2026年6月30日公表、意見募集は7月13日まで)。
容量市場は4年後に必要な供給力を先に買っておく制度である。その2030年度版のルールブック改訂案が意見募集にかかった。今回は、指令を受けて動く電源(発動指令電源)が応札できる枠を広げ、価格の付き方も変える。
意見募集の対象は3文書 ― 締切は7月13日、正式公表は7月末
改訂されるのは募集要綱と約款で、約款は対象実需給年度で2本に分かれている。
電力広域的運営推進機関(OCCTO)は2026年6月30日、「容量市場メインオークション募集要綱(対象実需給年度:2030年度)」案と「容量確保契約約款」(対象実需給年度:2024-2029年度/2030年度以降)案を公表した。意見募集の期間は2026年6月30日(火)から7月13日(月)まで。提出された意見を踏まえ、必要に応じて加筆修正のうえ2026年7月末に正式公表する予定である。
2026年度メインオークションに向けて主に反映されたのは3点である。年度途中に運転開始する電源の扱い、指標価格見直しに伴う価格決定方式の変更、そして発動指令電源の応札上限容量の拡大。系統用蓄電池は代表的な発動指令電源の一つで、3点すべてが蓄電池に当たる。
発動指令電源の応札枠がH3需要の5%へ ― 追加オークション分をメインで全量調達
枠が広がった理由は、追加オークションで調達する予定だった分をメインに寄せたことである。
図1:発動指令電源の応札上限容量がH3需要の4%から5%へ
出典:OCCTO 容量市場メインオークション募集要綱(対象実需給年度:2030年度)案 第6章1.。
改訂案では、追加オークションで調達予定だった供給力(H3需要の2%相当)をメインオークションで全量調達することとし、メインオークションにおける発動指令電源の応札上限容量を「H3需要の4%」から「H3需要の5%」に見直す。根拠は募集要綱第6章1.の落札電源の決定方法である。
応札上限容量は、発動指令電源がメインオークションで受け入れられる上限そのものにあたる。4%から5%への引き上げは、発動指令電源としての応札が枠で弾かれる確率を下げる方向に働く。一方で、追加オークションでの調達を前提にしていた事業者は、調達機会の置き方を組み替えることになる。
追加オークションで調達予定だった供給力(H3需要の2%分)をメインオークションで全量調達することとし、メインオークションにおける発動指令電源の応札上限容量をH3需要の4%からH3需要の5%に見直す。
— OCCTO 容量市場メインオークション募集要綱(対象実需給年度:2030年度)案 第6章1.落札電源の決定方法マルチプライス解除とシングルプライス化 ― 指標価格が約定価格の上限になる
価格の付き方が変わる。応札価格が指標価格以下の電源には上限がかかる。
図2:マルチプライス解除とシングルプライス化 ― 指標価格が約定価格の上限になる
出典:OCCTO 容量市場メインオークション募集要綱案 第5章・第6章2.、容量確保契約約款案(2030年度以降)第2章第7条・第8条。
指標価格の見直しに伴う容量拠出金負担の影響緩和措置として、マルチプライス方式を適用する措置を解除し、シングルプライス方式で約定処理を実施する。ただし落札電源のうち応札価格が指標価格以下である電源等については、約定価格は指標価格を上限とする。根拠は募集要綱第5章・第6章2.、および容量確保契約約款(2030年度以降)第2章第7条・第8条である。
変更は約定価格の決まり方そのものに及ぶ。応札価格が指標価格以下の電源等には指標価格という天井が同時にかかるため、応札価格の置き方によって受け取る額が変わる。収益シミュレーションは、方式変更後の前提で組み直すことになる。
シングルプライス化は指標価格の見直しに伴う緩和措置として位置づけられており、価格決定方式そのものの恒久的な変更として説明されているわけではない。
年度途中に運転開始する電源の扱い ― 支払も退出も月単位で整理
新設の蓄電所が最も直接に当たるのはここである。
年度途中に運転開始する電源について、計画停止のリクワイアメントにおける控除日数、1コマあたりのペナルティレート、実需給期間中の経済的ペナルティの月間上限額を、運転開始後の期間に応じて設定する。容量確保契約金額の支払開始は運転開始後とし、運転開始後の月数で除した金額を各月支払う。
運転開始の遅延が判明した場合の扱いも整理された。市場退出表明期限である実需給前年度の12月末までに判明すれば月単位の部分退出が可能で、期限後に判明した場合は新設された部分退出相当ペナルティの対象となる。12月末という一線が、工程管理の実質的な締切として効く。
- 意見募集期間(2026年7月13日まで)に、発動指令電源としての応札戦略とシングルプライス化の影響について自社の見解を整理し、意見提出の要否を判断する。
- 新設・年度途中運転開始予定のBESSプロジェクトについて、リクワイアメント控除日数・支払方法・部分退出ルールの変更が資金計画に与える影響を確認する。
- 容量確保契約約款(2030年度以降)第2章第7条・第8条で、指標価格を上限とする電源等の範囲を条文で確認する。
- 7月末の正式公表版と改訂案の差分を確認し、2026年度メインオークションの参加準備に反映する。
読者別の緊急度
投資判断への直接の影響は限定的だが、供給力確保制度の理解には役立つ。
新設BESSの容量市場参加設計に関わる。運転開始時期の置き方を確認したい。
応札上限拡大と価格決定方式の変更は市場参加戦略に直結し、締切も明確である。
よくある質問(Q&A)
容量市場2030年度のルール案では何が変わりますか?
2026年度メインオークションに向けて主に3点が反映されています。年度途中に運転開始する電源のリクワイアメントと支払方法の見直し、指標価格見直しに伴うマルチプライス方式の解除とシングルプライス化、そして発動指令電源の応札上限容量をH3需要の4%から5%へ拡大することです。
発動指令電源の応札上限容量はどう変わりますか?
追加オークションで調達予定だった供給力(H3需要の2%相当)をメインオークションで全量調達することとし、メインオークションにおける発動指令電源の応札上限容量をH3需要の4%からH3需要の5%に見直します。根拠は募集要綱第6章1.の落札電源の決定方法です。
シングルプライス方式に変わると約定価格はどうなりますか?
マルチプライス方式を適用する措置を解除し、シングルプライス方式で約定処理が行われます。ただし落札電源のうち応札価格が指標価格以下である電源等については、約定価格は指標価格を上限とします。根拠は募集要綱第5章・第6章2.と容量確保契約約款(2030年度以降)第2章第7条・第8条です。
系統用蓄電池はこの変更にどう関わりますか?
系統用蓄電池は代表的な発動指令電源の一つです。応札上限容量の拡大は容量市場への参加機会の広がりに、シングルプライス化と指標価格上限の導入は約定価格の予見性と収益構造に、それぞれ関わります。
年度途中に運転開始する電源の容量確保契約金額はいつから支払われますか?
支払開始は運転開始後で、運転開始後の月数で除した金額を各月支払う扱いです。あわせて計画停止リクワイアメントの控除日数、1コマあたりのペナルティレート、実需給期間中の経済的ペナルティの月間上限額も、運転開始後の期間に応じて設定されます。
運転開始が遅れた場合はどうなりますか?
市場退出表明期限である実需給前年度12月末までに遅延が判明すれば、月単位の部分退出が可能です。期限後に判明した場合は、新設された部分退出相当ペナルティの対象になります。
編集部の見立て(独自分析)
独自分析
- 応札上限容量の4%から5%への拡大は、追加オークションを前提にした調達をメインオークションに寄せた整理の帰結である。蓄電池を発動指令電源として出す側から見れば調達枠は広がるが、追加オークションという第2の機会は細り得る。メイン一本での応札設計に寄せる前提で考えた方がよい。
- シングルプライス化と指標価格上限の組み合わせは、応札価格戦略の自由度を狭める方向に働くと見る。指標価格以下で応札した電源等に指標価格の天井がかかるため、価格を低く置いて確実に落とす戦術の期待値が変わる。容量確保契約約款(2030年度以降)第2章第7条・第8条で、上限の適用対象がどう書かれているかを条文で確認しておきたい。
- 年度途中運転開始電源の整理は、新設BESSの資金計画に直接効く。支払が運転開始後の月数按分になると、運転開始が1か月遅れるだけで初年度の容量収入が目減りする。市場退出表明期限である実需給前年度12月末を工程表のマイルストーンに置き、遅延の見込みが立った時点で部分退出の判断ができる体制にしておくべきだと考える。
- 意見募集は6月30日から7月13日までの2週間で、正式公表は7月末。意見を出すかどうかにかかわらず、正式公表版と改訂案の差分を確認する作業は避けられない。2026年度メインオークションの準備は、その差分確認から逆算して組むことになる。
※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、一次資料に記載された決定事項ではありません。
この記事のまとめ
実需給2030年度を対象とする容量市場のルール案が、2026年6月30日から7月13日まで意見募集にかかった。反映されたのは3点で、発動指令電源の応札上限容量をH3需要の4%から5%へ拡大、マルチプライス方式の解除とシングルプライス化、年度途中に運転開始する電源のリクワイアメント・支払・部分退出の整理である。正式公表は7月末が予定されている。
編集体制
執筆
BESSNEWS編集部
系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づいて解説する編集部。審議会資料・約款・公募要領を原文で確認して記事化しています。
監修
BESS NEWS編集長
容量市場と需給調整市場の制度設計を担当。本記事の条項番号と数値は募集要綱案および容量確保契約約款案の記載と突き合わせて確認した。
出典(一次情報)
- OCCTO 意見募集(容量市場メインオークション募集要綱2030年度等)
https://www.occto.or.jp/iken/000565.html - OCCTO 容量市場
https://www.occto.or.jp/various/capacity-market/index.html
本記事は2026年7月1日時点で公表された一次資料に基づきます。以後の改訂・追加公表は反映していません。
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