作成日:2026.09.03
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制度・政策・審議会
※本記事は、作成日または最終更新日時点で公表されている制度情報・数値・資料に基づいて作成しています。
蓄電池が応札できる上限価格はエリア別に7万円台、制度適用期間は最長40年。長期脱炭素電源オークション2026年度の募集要綱
電力広域的運営推進機関(OCCTO)は2026年9月2日、長期脱炭素電源オークション(応札年度2026年度)の募集要綱を公表し、容量確保契約約款を変更した。蓄電池の上限価格は9エリアごとに決められ、要綱の※2のエリア別表では東北の71,140円/kW/年から東京の74,906円/kW/年までになる。ところが同じ要綱の上限価格表は、蓄電池の行を70,675〜74,417円/kW/年と書いている。両端とも合わず、要綱に理由の説明はない。制度適用期間は原則20年で、蓄電池は1年単位で上限40年まで希望できる。応札受付は2027年1月19日から26日まで。
CONTENTS目次
何が起きたか:OCCTOが長期脱炭素電源オークション(応札年度2026年度)の募集要綱を公表した。蓄電池の上限価格はエリア別表で71,140〜74,906円/kW/年(p.19)、制度適用期間は原則20年・蓄電池は上限40年(p.10)、応札受付は2027年1月19日〜26日(p.9)。
なぜ重要か:上限価格は応札価格の天井で、エリアと期間の設定は事業計画の前提そのものになる。ただし上限価格表(p.18)は蓄電池を70,675〜74,417円/kW/年と書いており、エリア別表と両端が合わない。
何をすべきか:自社エリアの上限価格を原本の2つの表で見比べ、食い違いはOCCTOの問合せ窓口で確かめる。期間を20年より延ばすかどうかは、セル交換の費用を織り込んだ収支で決める。
9月2日の要綱で決まったこと
OCCTOは業務規程第32条の12にもとづき、応札年度2026年度の長期脱炭素電源オークション募集要綱を策定し、2026年9月2日に公表した(OCCTOのお知らせ)。要綱は、参加する事業者と電源が満たすべき要件、参加登録と応札の方法、落札の決め方、契約条件、提出様式までを定める70頁の文書である。同じ日に、契約金額や容量提供事業者への要件を定める容量確保契約約款も変更された。
募集の枠組みは8月末までに固まっていた。脱炭素電源の募集量は500万kWで、蓄電池はリチウムイオン蓄電池40万kWと、リチウムイオン蓄電池以外の蓄電池40万kWの2区分に分かれる(要綱 p.10)。蓄電池の落札が募集上限を跨ぐ電源までに限られること、経済安全保障推進法の認定を受けたメーカーのセルを使うリチウムイオン蓄電池を優先して落札することも、要綱にそのまま書かれた(p.35)。この経緯は8月31日の記事で扱ったので、ここでは繰り返さない。
本稿は、蓄電池のエリア別の上限価格を中心に、制度適用期間と運転開始の期限、参加要件、日程の順に見ていく。
蓄電池の上限価格:9エリアの値
上限価格は電源種ごとに、新設かリプレース等かで分かれる。応札は上限価格以下で行う必要がある(要綱 p.18)。蓄電池は新設とリプレース等の区別がなく1行で、エリアによって値が変わる。要綱 p.19 の※2の表は「電源が設置されたエリアによって、以下のとおり設定します」として、揚水(リプレース)と蓄電池に共通の列で次の値を示している。
| エリア | 揚水(リプレース)・蓄電池の上限価格 |
|---|---|
| 北海道 | 71,768円/kW/年 |
| 東北 | 71,140円/kW/年(9エリアで最も低い) |
| 東京 | 74,906円/kW/年(9エリアで最も高い) |
| 中部 | 71,563円/kW/年 |
| 北陸 | 71,273円/kW/年 |
| 関西 | 71,754円/kW/年 |
| 中国 | 71,154円/kW/年 |
| 四国 | 71,621円/kW/年 |
| 九州 | 72,813円/kW/年 |
東京が突出して高く、次が九州で、ほかの7エリアは71,100円台から71,700円台に収まる。東北と東京の差は3,766円/kW/年ある。上限価格は応札できる天井であって、落札価格ではない。募集上限の40万kWを超える応札が集まれば、約定は天井より下で決まる。
2つの表で上限価格が合わない
同じ要綱の p.18 にある上限価格表(新設・リプレース等の大規模投資)では、蓄電池の行は「70,675~74,417円/kW/年」と書かれている。※2のエリア別表から最小と最大を取ると71,140円と74,906円で、下限が465円、上限が489円ずれる。比率にすると両端とも約0.66%で、エリア別表のほうが高い。
| 記載箇所 | 蓄電池の上限価格 | 表の書き方 |
|---|---|---|
| p.18 上限価格表 | 70,675~74,417円/kW/年 | 蓄電池は1行。揚水(リプレース等)の欄も同じ「70,675~74,417円/kW/年」で、こちらには(※2)が付いている |
| p.19 ※2 エリア別表 | 71,140~74,906円/kW/年 | 列見出しは「揚水(リプレース)」「蓄電池」の2段。9エリアの値を列挙 |
編集部は要綱PDFの該当頁を画像に書き出して、表の罫線と列見出しを目で確かめた。テキスト抽出の読み違いではない。太陽光(101,396~200,000円)、陸上風力(109,547~200,000円)、洋上風力(345,220~701,172円)は、p.18の範囲とp.19のエリア別の最小・最大がきれいに一致する。合わないのは揚水(リプレース)・蓄電池の列だけである。
要綱には、この差についての説明(補正の前後、年度の違いなど)は書かれていない。どちらが応札の上限として使われるのかは、要綱だけでは決められない。本稿は個別エリアの値としてエリア別表を示しているが、それが正しいと判断したわけではない。要綱は問合せ先として「電力広域的運営推進機関 容量市場 長期脱炭素電源オークション問合せ窓口」を挙げている(p.8)。応札価格を上限の近くに置く計画なら、窓口で確かめておきたい。
エリア別表の値を前提に上限ぎりぎりで価格を組むと、上限価格表のほうが正しかった場合に上限を超えた応札になりうる。差は1kWあたり年465〜489円で、応札容量3万kWで計算すると年1,395万〜1,467万円になる。
制度適用期間は最長40年、運転開始は4年後の年度末まで
制度適用期間は、落札した電源が容量収入を得られる期間である。供給力提供開始年度の翌年度から始まり、原則20年間とされる。一部の電源種は20年より長い期間を1年単位で希望でき、蓄電池の上限は40年になっている(要綱 p.10)。
上限40年は蓄電池だけの扱いではない。要綱の表では、火力電源、既設火力の改修(バイオマス専焼にするための改修を除く)、新設以外の揚水式水力、蓄電池が上限40年に並ぶ。水力(揚水式を除く)、新設の揚水式水力、長期エネルギー貯蔵システム、原子力、LNG専焼火力は上限30年である。
運転開始の期限は約款が決めている。契約締結日は約定結果の公表日で(約款 第4条)、蓄電池の供給力提供開始期限は、契約締結日を起算日として「4年後の日が属する年度の末日」とされた(第13条)。同じ表で長期エネルギー貯蔵システムは応札年度2026年度が7年、2025年度が4年と年度で書き分けられているが、蓄電池にその区別はなく4年である。
参加要件と、1電源の組み方
蓄電池が応札できるのは、送電端の設備容量が3万kW以上で、1日1回以上・連続6時間以上の運転を続けられる能力があり、期待容量等算定諸元一覧に登録する連続発電可能時間の年平均値が6時間以上のものに限られる(要綱 p.13)。日々の6時間と、年平均の6時間は別々の条件として書かれている。
電源の組み方にも制限がある。リチウムイオン蓄電池とそれ以外の蓄電池を組み合わせて1電源とすること、複数メーカーのリチウムイオン蓄電池を組み合わせて1電源とすることは、本年度のオークションでは対象にならない(p.15 ※13)。蓄電池と蓄電池以外の電源種を同一場所に併設する場合も、単独で系統に接続する場合を除いて対象外である(※16)。
認定付きリチウムイオン蓄電池の範囲は細かく定義されている。経済安全保障推進法の供給確保計画の認定を受けたメーカーと、そのメーカーが株式・持分の50%超を持つ国内外の子会社・孫会社が、自ら保有する製造拠点で作ったセルに限られ、OEMを含む委託生産は該当しない(p.28 ※10)。約定結果の公表後にセルのメーカーを変えられるのは、認定を受けた別のメーカーへの変更だけである(※11)。リチウムイオン以外の区分では、電源等情報の登録以降にセル製造国・地域を変えられない(※12)。優先約定の考え方は9月1日の解説記事にまとめている。
応札までの日程
参加登録は3段階で、それぞれに受付と審査の期間がある(要綱 p.9)。日程の全体像は9月1日の記事でも伝えた。
| 手続き | 期間 |
|---|---|
| 事業者情報の登録受付 | 2026年10月13日(火)〜10月16日(金) |
| 事業者情報の審査 | 2026年10月13日(火)〜10月21日(水) |
| 電源等情報の登録受付 | 2026年10月19日(月)〜10月23日(金) |
| 電源等情報の審査 | 2026年10月26日(月)〜12月8日(火) |
| 期待容量の登録受付 | 2026年12月9日(水)〜12月15日(火) |
| 期待容量の審査 | 2026年12月16日(水)〜12月25日(金) |
| 応札の受付 | 2027年1月19日(火)〜1月26日(火) |
| 期待容量等算定諸元一覧の登録受付 | 2027年1月27日(水)〜2月3日(水) |
約定結果は応札受付期間の終了から3か月後を目途とし、応札年度の翌年度に公表される。電力・ガス取引監視等委員会の監視状況などで前後することがある(p.9)。制度の詳しい説明会は、OCCTOの容量市場説明会事務局が9月17日(木)の開催と告知していた(既報)。
その後の動き
OCCTOは2026年9月30日、参加登録・応札・容量確保契約書の締結の手続きを定める容量市場業務マニュアル(応札年度2026年度)の第1版を公表した。どの様式をいつ出すか、電源等情報で不合格になった場合の再申込が1回に限られることなどは、9月30日の記事で整理している。
よくある質問
Q1. 2026年度の長期脱炭素電源オークションで、蓄電池はいくらまで応札できますか。
Q2. 上限価格の2つの表は、どちらが正しいのですか。
Q3. 制度適用期間の上限40年は、蓄電池だけの扱いですか。
Q4. 蓄電池はいつまでに運転を始める必要がありますか。
Q5. 1つの電源にリチウムイオン電池と別の種類の電池を組み合わせて応札できますか。
Q6. 応札受付はいつですか。
編集部の見立て
- 上限価格の2つの表のずれは、両端とも約0.66%と同じ比率になっている。片方だけを別の前提で更新したように見えるが、要綱に説明はなく、編集部の推測の域を出ない。東京エリア以外はエリア別表でも71,000円台にほぼ収まるので、上限ぎりぎりで価格を組む案件ほど影響が大きい。
- 期間を40年まで延ばせても、リチウムイオン電池のセルが40年使えるわけではない。20年を超える期間を希望するなら、セル交換の費用と、年平均6時間の要件を後年度も満たす容量の余裕を、応札価格の中で回収できるかが判断の分かれ目になると編集部はみている。
- 運転開始の期限は、契約締結日から4年後の日が属する年度の末日である。セルは認定の有無とメーカーの組み合わせで応札できるかどうかまで決まり、約定後の変更も認定メーカー間に限られる。価格より先に調達先を固める順番になる。
編集体制と事実確認プロセス
BESS NEWSの記事はこう作っています
- BESS NEWSは一次情報主義を採ります。官公庁・電力広域的運営推進機関・一般送配電事業者などが自ら公表した文書とページのみを出典とし、業界紙・ニュースサイト・プレスリリース配信の二次情報は出典に用いません。
- 本稿は、OCCTOが2026年9月2日に公表した募集要綱(70頁)と容量確保契約約款、公表ページにもとづきます。いずれもOCCTOのサイトから取得しました。
- 上限価格の2つの表は、要綱PDFの p.18・p.19 を画像に書き出して、列見出しと罫線を目で確認しました。テキスト抽出だけでは表の列の対応を取り違えることがあるためです。
- 上限価格の2つの表の食い違いは、本稿の公開時点で要綱にも公表ページにも説明がなく、OCCTOの回答も得ていません。
- 「編集部の見立て」は一次情報の事実にもとづく編集部の解釈で、確定的な見通しではありません。
数値照合表
本文に出した主要な数値と記載を、一次情報の該当箇所と1対1で対照した表である。
| # | 本文の数値・事実 | 一次情報の記載 | 出典(該当箇所) |
|---|---|---|---|
| 1 | 業務規程第32条の12にもとづき要綱を策定・公表、約款を改定(2026年9月2日) | 「業務規程第32条の12の規定に基づき…募集要綱を策定いたしましたので、公表いたします」「容量確保契約約款を改定いたしました」。掲載開始日:2026年09月02日 | OCCTO お知らせ |
| 2 | 脱炭素電源の募集量500万kW、蓄電池はリチウムイオン40万kW・それ以外40万kW、LNG専焼火力600万kW | 「募集量は500万キロワット(kW)」「蓄電池(リチウムイオン蓄電池に限る。)は40万kW、蓄電池(リチウムイオン蓄電池以外の蓄電池に限る。)は40万kW」「LNG専焼火力の募集量は600万kW」 | 募集要綱 p.10 |
| 3 | 上限価格表の蓄電池:70,675~74,417円/kW/年 | 「蓄電池 70,675~74,417円/kW/年」 | 募集要綱 p.18 |
| 4 | エリア別表:東北71,140円(最小)〜東京74,906円(最大)、ほか7エリアの値 | ※2の表「揚水(リプレース)/蓄電池」列:北海道71,768/東北71,140/東京74,906/中部71,563/北陸71,273/関西71,754/中国71,154/四国71,621/九州72,813円/kW/年 | 募集要綱 p.19 |
| 5 | 2つの表の差:下限465円、上限489円(約0.66%) | 71,140−70,675=465、74,906−74,417=489(編集部の計算) | 募集要綱 p.18・p.19 |
| 6 | 制度適用期間は原則20年、1年単位で延長可、蓄電池の上限40年 | 「供給力提供開始年度の翌年度を始期として以降、原則20年間」「20年よりも長期の適用期間(1年単位)を希望することも可能」「…揚水式水力(新設を除く。)、蓄電池 40年」 | 募集要綱 p.10 |
| 7 | 蓄電池の供給力提供開始期限は契約締結日から4年後の日が属する年度の末日 | 「蓄電池 4年後の日が属する年度の末日」「供給力提供開始期限は、本契約締結日を起算日とする」「契約締結日は約定結果公表日とします」 | 容量確保契約約款 第4条・第13条 |
| 8 | 参加要件:送電端3万kW以上、1日1回以上連続6時間以上、連続発電可能時間の年平均6時間以上 | 「設備容量(送電端)が3万kW以上(…1日1回以上連続6時間以上の運転継続が可能な能力を有するものであり、期待容量等算定諸元一覧における連続発電可能時間の年平均値が6時間以上のものに限る。)」 | 募集要綱 p.13 |
| 9 | リチウムイオンとそれ以外、複数メーカーのリチウムイオンを組み合わせた1電源は対象外 | 「蓄電池(リチウムイオン蓄電池に限る。)と蓄電池(リチウムイオン蓄電池以外の蓄電池に限る。)を組み合わせること、又は複数のメーカーの蓄電池(リチウムイオン蓄電池に限る。)を組み合わせることにより、1電源…とする場合は本制度の対象として認めません」 | 募集要綱 p.15 ※13 |
| 10 | 認定付きリチウムイオン蓄電池の範囲(50%超の子会社・孫会社を含む、自社製造拠点のセルに限る、OEM除く) | 「当該メーカーが株式・持分50%超の支配力を持つ国内外の子会社・孫会社を含む」「自ら保有する製造拠点で製造したセルに限る」「(OEMを含む。)は、これに該当しません」 | 募集要綱 p.28 ※10 |
| 11 | 事業者情報の登録受付 2026年10月13日〜16日、応札の受付 2027年1月19日〜26日 ほか | 募集スケジュール表(事業者情報・電源等情報・期待容量の登録受付と審査、応札の受付、算定諸元一覧の登録受付) | 募集要綱 p.9 |
| 12 | 約定結果は応札受付終了から3か月後を目途、応札年度の翌年度に公表 | 「約定結果は「応札の受付期間」終了から3か月後を目途とし、応札年度の翌年度に公表します」 | 募集要綱 p.9 |
出典(一次情報)
- 電力広域的運営推進機関「『容量市場 長期脱炭素電源オークション募集要綱(応札年度:2026年度)』及び『長期脱炭素電源オークション 容量確保契約約款』の公表について」(2026年9月2日 掲載)
- 電力広域的運営推進機関「容量市場 長期脱炭素電源オークション募集要綱(応札年度:2026年度)」(PDF・70頁)(2026年9月2日 公表。本稿は p.8〜10・p.13・p.15・p.18〜19・p.28・p.35 を参照)
- 電力広域的運営推進機関「長期脱炭素電源オークション 容量確保契約約款」(PDF・43頁)(2026年9月2日 変更版。本稿は第4条・第13条を参照)
※二次情報(業界紙・ニュースサイト・プレスリリース配信)は出典に用いていません。
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