作成日:2026.04.01
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制度・政策・審議会
※本記事は、作成日または最終更新日時点で公表されている制度情報・数値・資料に基づいて作成しています。
充電を絞って増強を待たずにつなぐ ― 北海道の系統用蓄電池「充電制御装置」接続、東石狩追加で対象28系統に
北海道電力ネットワークは『充電制御装置を活用した系統用蓄電池の接続について』を2026年4月10日に改定し、東石狩系統を対象系統に追加、対象は計28系統に拡大する。充電制御装置(親局・子局・通信回線)の設置を前提に、送変電設備を増強せず系統用蓄電池を早期接続する仕組みで、接続可能量は系統毎に最大200MW、混雑時は定格充電電力比で一律に充電を抑制する。
このページの要点
- 北海道エリアは2021年度以降の蓄電池接続申込み増加で一部送変電設備の順潮流(充電)側空容量が不足。増強には長期を要するため、国の系統WG(2022年9月)の議論を踏まえ2023年1月から充電制御装置を活用した接続申込みを受付している。
- 2026年4月10日改定で東石狩系統(東石狩変電所以下、使用開始予定2031年9月)を対象系統に追加し、対象は計28系統に。接続可能量は周波数変動等の制約により系統毎に最大200MW。
- 混雑検出時は定格充電電力に対し全蓄電池を一律割合で充電抑制。親局A(基幹系SS)約15千万円・親局B(ローカルSS)約6千万円・子局約1千万円の工事費は事業者負担で、充電制御に伴う損失補償はない。
出典:北海道電力ネットワーク『充電制御装置を活用した系統用蓄電池の接続について』(2026年4月10日改定版・全18ページ)。
送電網が混雑しそうになったら自動で充電を絞る「信号機」を付けることを条件に、本来必要な大規模な送変電増強を待たずに蓄電池を早く系統へつなぐ仕組みである。信号機にあたる装置の設置費(親局約15千万円等)は事業者負担となる。
充電制御装置を活用した蓄電池接続の仕組みと背景
北海道の蓄電池接続では、放電(逆潮流)ではなく「充電」側の空容量不足がボトルネックになっている。
北海道エリアでは再エネ導入拡大に向け、調整力としての系統用蓄電池の普及が期待される一方、2021年度以降の蓄電池接続申込み増加により、一部送変電設備で順潮流(充電・一般需要側)の空容量不足が生じている。送変電設備の増強には長期を要するため、国の系統WG(第41回新エネ小委/電力ガス基本政策小委 系統WG・2022年9月14日)での議論を踏まえ、北海道電力ネットワークは2023年1月20日以降、充電制御装置の設置を前提とした蓄電池接続の申込みを受付している。
対象系統に接続する蓄電池は原則、送変電増強なしで接続可能となる。その代わり、順潮流側に混雑が発生した場合は充電制御装置で充電が抑制される。今回解説する資料は、この仕組みをまとめた同社公表資料の2026年4月10日改定版(全18ページ)である。
北海道エリアでは再エネ導入拡大に向け調整力としての系統用蓄電池の普及が期待される一方、2021年度以降の接続申込み増加で一部送変電設備の順潮流の空容量不足が生じている。送変電増強は長期を要するため、充電制御装置の設置を前提とした蓄電池接続の申込みを2023年1月20日以降受付している。
— 北海道電力ネットワーク『充電制御装置を活用した系統用蓄電池の接続について』(2026年4月10日改定版)制約設備は連系変圧器(187kV/66kV)・送電線等で、連系変圧器以下に特別高圧・高圧で接続する蓄電池が対象設備となる。道東基幹系では187kV西春別線・釧路北線が制約設備である。
対象28系統・接続可能量200MW・充電抑制の制御方式
2026年4月10日改定で東石狩系統が加わり、対象は計28系統になった。
図1:対象28系統・系統毎に最大200MWと充電抑制の制御方式
出典:北海道電力ネットワーク『充電制御装置を活用した系統用蓄電池の接続について』(2026年4月10日改定版・全18ページ)。
今回の改定では、東石狩系統(東石狩変電所以下、使用開始予定2031年9月)が新たに対象系統に追加され、対象は計28系統となった。各系統の接続可能量は、周波数変動等の制約により系統毎に最大200MWが上限となる。上限を超える申込みは契約申込受付順に可否が判断され、接続できない分は送変電増強が必要になる。
充電制御の方式は次のとおりである。当社(北海道電力ネットワーク)変電所に設置される親局が、制約設備の潮流と設備情報(CB・LS)を常時監視し、事業者の蓄電所に設置される子局へ通信回線経由で制御信号を送信する。運用容量の超過時は、定格充電電力に対する一律割合で各蓄電池の充電を抑制する。
抑制されるのは充電(順潮流)側のみで、抑制の見込み(抑制時間・抑制率)は接続検討回答で個別に提示される。充電可能時間が削られることは、市場価格差を利用した充放電(アービトラージ)の機会に直結するため、収益モデルへの織り込みが不可欠である。
親局/子局の工事費負担と接続検討の進め方
装置の設置・保守・更新費はすべて事業者負担。先行設置者には按分精算による回収の可能性もある。
図2:親局/子局の概算工事費と接続検討の3つの選択肢
出典:北海道電力ネットワーク『充電制御装置を活用した系統用蓄電池の接続について』(2026年4月10日改定版)。親局A=基幹系SS設置、親局B=ローカルSS設置。
充電制御装置の概算工事費は、親局A(基幹系SS設置)約15千万円、親局B(ローカルSS設置)約6千万円、子局約1千万円で、設置・保守・更新費は事業者負担である。親局の使用開始後3年以内に他事業者が同一親局を使用する場合は、最大供給電力で按分精算される。充電制御に伴う損失は補償されない。
接続検討の3つの選択肢
接続検討は次の3通りから選択でき、契約申込時にいずれかを選ぶ。
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| 充電制御前提 | 充電制御装置の設置を前提とした接続検討 |
| 増強前提 | 送変電増強を前提とした接続検討 |
| 両方並行 | 両者を並行して検討(同意書のほか2件分の検討料が必要) |
北海道は系統用蓄電池の有望立地である一方、順潮流側の空容量制約が接続の最大のボトルネックであり、充電制御装置はこれを回避して増強を待たずに早期接続する事実上の現実解といえる。対象28系統・系統毎200MW上限・受付順の可否判断は、立地選定と申込タイミングを直接左右する。
- 北海道で系統用蓄電池を検討する事業者は、対象28系統と各系統の接続可能量(最大200MW)・受付状況を確認し、有望系統への早期の接続検討・契約申込を進める。
- 充電制御前提・増強前提・両方並行のいずれで接続検討を申し込むか方針を決め、両方併願時は同意書と2件分の検討料を準備する。
- 親局/子局/通信回線の工事費負担と充電抑制(時間・率)・損失非補償を織り込んだ収益・事業性試算を行い、3年以内按分精算の可能性も評価する。
読者別の緊急度
北海道立地の接続可否を左右する制約として今月中に把握しておきたい。
設計・接続検討担当は制約設備・制御方式・工事費を今週中に確認すべき。
立地選定と申込タイミングに直結し、対象系統追加を直ちに押さえるべき。
よくある質問(Q&A)
充電制御装置を活用した蓄電池接続とはどのような仕組みですか?
順潮流(充電)側の空容量が不足する対象系統について、充電制御装置(親局・子局・通信回線)の設置を前提に、原則送変電増強なしで系統用蓄電池を接続する北海道電力ネットワークの仕組みです。順潮流側に混雑が発生した場合は充電制御装置で充電を抑制します。2023年1月20日以降、接続の申込みを受付しています。
対象系統はいくつありますか?
2026年4月10日改定で東石狩系統(東石狩変電所以下、使用開始予定2031年9月)が新たに追加され、対象は計28系統です。
接続可能量に上限はありますか?
周波数変動等の制約により、系統毎に最大200MWです。上限を超える申込みは契約申込受付順に可否が判断され、接続できない分は送変電増強が必要になります。
充電制御装置の費用は誰が負担しますか?
概算工事費は親局A(基幹系SS設置)約15千万円、親局B(ローカルSS設置)約6千万円、子局約1千万円で、設置・保守・更新費は事業者負担です。親局の使用開始後3年以内に他事業者が同一親局を使用する場合は、最大供給電力で按分精算されます。
充電を抑制された場合の損失は補償されますか?
補償されません。順潮流側に混雑が発生した場合は、定格充電電力に対する一律割合で各蓄電池の充電が抑制されますが、充電制御に伴う損失は補償しないとされています。
接続検討はどのように申し込めばよいですか?
充電制御前提・送変電増強前提・両方並行の3通りから選択できます。両方並行の場合は同意書のほか2件分の検討料が必要で、契約申込時にいずれかを選びます。
編集部の見立て(独自分析)
独自分析
- 接続可能量の上限は順潮流=充電側の制約であり、放電(逆潮流)ではなく充電がボトルネックという北海道特有の構図。蓄電池の充電タイミングが系統混雑時に制限される点が収益設計の核心になる。
- 系統毎最大200MWは周波数変動等の制約による上限で、受付順に枠を消費するため有望系統では先行申込みの優位が大きい。抑制見込み(抑制時間・抑制率)は接続検討回答で個別提示される。
- 親局使用開始後3年以内の他事業者按分精算ルールにより、先行設置事業者は後続案件の参入で工事費の一部を回収できる可能性があり、立地・タイミング戦略に影響する。
※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。
この記事のまとめ
充電制御装置の設置を前提に、送変電増強なしで系統用蓄電池を早期接続する北海道電力ネットワークの仕組みが、2026年4月10日改定で東石狩系統(使用開始予定2031年9月)を加え対象28系統に拡大する。接続可能量は周波数変動等の制約により系統毎に最大200MWで、超過申込みは受付順に可否判断。混雑検出時は定格充電電力に対する一律割合で充電が抑制され、損失は補償されない。親局A約15千万円・親局B約6千万円・子局約1千万円の工事費は事業者負担で、親局使用開始後3年以内の他事業者使用時は最大供給電力で按分精算される。接続検討は充電制御前提・増強前提・両方並行から選択できる。
編集体制
執筆
BESSNEWS編集部
系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。
監修
BESS NEWS編集長
系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。
出典(一次情報)
- 北海道電力ネットワーク『充電制御装置を活用した系統用蓄電池の接続について』(2026年4月10日改定版・全18ページ)
https://www.hepco.co.jp/network/(北海道電力ネットワーク 系統情報) - 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/04_系統・接続(送配電・系統増強)/北海道電力NW/20260401_北海道NW_PDFファイルを開きます。充電制御装置を活用した系統用蓄電池の接続について.pdf
本記事は2026年4月1日時点で取得した上記一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。対象系統・接続可能量等は今後の改定で変更される可能性があります。
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