作成日:2026.06.05
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制度・政策・審議会
※本記事は、作成日または最終更新日時点で公表されている制度情報・数値・資料に基づいて作成しています。
第4回 長期脱炭素電源オークションの前提を詰める ― LNG・LDESの提供開始期限と資本コスト、容量・需給調整市場も見直し
資源エネルギー庁は電力安定供給ワーキンググループ第2回(2026年6月5日)で、2027年1月に予定される第4回 長期脱炭素電源オークションに向けた制度見直しを継続議論した。LNGとLDES(長時間エネルギー貯蔵)の供給力提供開始期限や資本コスト、容量市場・需給調整市場の見直しが論点となった。
このページの要点
- 第4回 長期脱炭素電源オークション(2027年1月予定)の制度見直しを継続議論。LNGの募集量・供給力提供開始期限、LDESの供給力提供開始期限、資本コスト、落札電源の相対契約の規律が論点(資料4)。
- 容量市場は、追加オークションで調達予定だった供給力(H3需要の2%分)を、メインオークションで全量調達する案を確認。2026年度実施のメインオークション募集要綱に反映される(資料5)。
- 需給調整市場は、前日取引化の前後の取引状況を検証し、募集量・上限価格の見直しの要否を、応札事業者の受け止めを含めて議論(資料6)。
出典:電力安定供給WG 第2回 資料4〜6(2026年6月5日)。
2027年1月の第4回 長期脱炭素電源オークションに向けて、電源ごとの「いつ供給を始めるか(提供開始期限)」と「投資回収の前提となる資本コスト」を先に固めるための回である。あわせて容量市場・需給調整市場の調達の枠組みも点検し、第4回入札の具体案を詰める土台をつくった。
なぜ今、長期脱炭素電源オークションを見直すのか
脱炭素電源に長期の投資回収を保証する仕組みの「次回ルール」を、入札本番の前に詰める第2ラウンドである。
長期脱炭素電源オークションは、脱炭素に資する電源に対して長期間にわたり固定的な収入を保証し、新規投資を促す仕組みである。系統用蓄電池やLDES(長時間エネルギー貯蔵)も応札できる制度で、第4回の入札は2027年1月に予定されている。
資源エネルギー庁の電力安定供給ワーキンググループは、この第4回入札に向けた制度見直しを議論している。2026年6月5日の第2回は、2026年5月13日の第1回に続く継続議論であり、電源ごとの供給力提供開始期限や資本コストといった前提条件を詰める回にあたる。
本回は継続議論(審議中)の段階であり、各論点の最終的な数値・方向性は今後のWGで確定する。系統用蓄電池・LDES事業者にとっては、次回入札の前提条件が形づくられる重要な回に位置づけられる。
長期脱炭素電源オークションの6つの論点(資料4)
資料4「長期脱炭素電源オークションについて」で示された本日の論点は、次の6つである。
図1:資料4で示された6つの論点
出典:電力安定供給WG 第2回 資料4「長期脱炭素電源オークションについて」(2026年6月5日)。
第4回入札に向けて、電源の種類ごとに「いつまでに供給を始めるか」「投資回収の前提となる資本コストをどう置くか」、そして落札した電源をどう扱うかが論点になった。
①②はLNG専焼火力、③はLDESに関する募集量・スケジュールの前提である。供給力提供開始期限は、電源が「いつまでに稼働して供給力を提供するか」の締切にあたり、建設リードタイムの長い電源ほど設定が事業成立を左右する。
④⑤の資本コスト(税引前WACC=資本の調達コスト)は、長期にわたる投資回収の水準を決める前提であり、電源種ごとに置き方が論点となった。⑥の相対契約の規律は、落札した電源を他の電源と組み合わせて卸売りする際のルールを整えるものである。
本日の論点は、LNG専焼火力の募集量、LNGの供給力提供開始期限、LDESの供給力提供開始期限、LNGとLDESの資本コスト、全電源の資本コスト、落札電源と他電源のセット卸売り(相対契約)の規律である。第4回入札は2027年1月に予定されている。
— 電力安定供給WG 第2回 資料4容量市場の見直し ― 追加オークション分をメインで全量調達(資料5)
追加オークションで確保する予定だった供給力を、メインオークションでまとめて調達する方向が確認された。
図2:容量市場の供給力調達方法の見直し
出典:電力安定供給WG 第2回 資料5「容量市場について」・参考資料4(2026年6月5日)。
資料5「容量市場について」では、容量市場の在り方等に関する検討会(第73回)の検討を踏まえ、追加オークションで調達予定の供給力(H3需要の2%分)を、メインオークションで全量調達する見直しが確認された。この見直しは、2026年度に実施するメインオークションの募集要綱に反映される。
あわせて参考資料4「容量市場における入札ガイドライン(案)」では、2020年5月に策定された入札ガイドラインを改定する案が示された。入札ガイドラインは、容量市場における投資回収の基本的な枠組みを定める文書である。
追加オークションで調達予定の供給力(H3需要の2%分)について、メインオークションで全量調達する見直しを確認する。2026年度に実施するメインオークションの募集要綱に反映する。
— 電力安定供給WG 第2回 資料5・参考資料2需給調整市場の見直し ― 前日取引化後の検証(資料6)
前日取引に切り替えた後の取引状況を検証し、募集量・上限価格を見直すべきかどうかを議論した。
資料6「需給調整市場について」では、需給調整市場の前日取引化の前後で取引状況を検証した。第1回WG(2026年5月13日)で前後1か月の取引状況を報告したのに続き、その後の期間の実績を検証し、検証結果を踏まえた募集量・上限価格の見直しの要否を、応札事業者の受け止めを含めて議論した。
需給調整市場は系統用蓄電池が調整力を提供して収益を得る主要な市場であり、募集量・上限価格の見直しはBESSの調整力収益の前提に直結する論点である。本回は見直しの要否を議論する段階であり、具体的な見直し内容は今後のWGで詰められる。
系統用蓄電池・市場参加者への影響と備え
第4回入札に応札するBESS・LDES事業者、容量市場・需給調整市場の参加者は、前提条件の変化を確認しておきたい。
本回で議論された論点は、いずれも系統用蓄電池・LDESの案件成立時期と採算の前提に関わる。供給力提供開始期限や資本コストは、事業計画の実現可能性と投資回収の見通しを左右する。容量市場・需給調整市場の調達枠組みの見直しも、市場参加者の約定量や収益の前提に影響する。
- 第4回入札に応札予定のBESS・LDES事業者は、供給力提供開始期限・資本コストの前提変更が、自社案件の成立時期・採算に与える影響を確認する。
- 容量市場の参加者は、追加オークション調達分(H3需要の2%分)のメイン全量調達化が、約定量・価格に与える影響を募集要綱で確認する。
- 需給調整市場の応札事業者は、前日取引化後の募集量・上限価格の見直しの方向性をフォローする。
- 各論点は継続議論の段階のため、今後の電力安定供給WGの審議を継続的にモニタリングし、事業計画に反映する。
読者別の緊急度
影響は間接的だが、脱炭素電源の投資回収ルールの方向性として把握しておきたい。
供給力提供開始期限の前提変更は建設スケジュール・案件成立時期に関わるため今週中に確認したい。
第4回入札の前提・容量/需給調整市場の見直しが採算に直結するため直ちに押さえるべき。
よくある質問(Q&A)
第4回 長期脱炭素電源オークションはいつ実施されますか?
第4回の入札は2027年1月に予定されています。2026年6月5日の電力安定供給WG第2回は、その入札に向けた制度見直しを継続議論している段階です。
第2回WGで議論された長期脱炭素電源オークションの論点は何ですか?
資料4で示された論点は、①LNG専焼火力の募集量、②LNGの供給力提供開始期限、③LDESの供給力提供開始期限、④LNGとLDESの資本コスト、⑤全電源の資本コスト、⑥落札電源と他電源を組み合わせて卸売りする際の規律(相対契約)の6点です。
容量市場はどのように見直されますか?
従来は追加オークションで調達する予定だった供給力(H3需要の2%分)を、メインオークションで全量調達する見直しが確認されました。2026年度に実施するメインオークションの募集要綱に反映されます。
需給調整市場では何が議論されましたか?
前日取引化の前後の取引状況を検証し、その結果を踏まえた募集量・上限価格の見直しの要否を、応札事業者の受け止めを含めて議論しました。第1回WG(5月13日)の前後1か月の報告に続く検証です。
LDES(長時間エネルギー貯蔵)はこの見直しでどう扱われますか?
資料4で、LDESの供給力提供開始期限とLDESの資本コストが論点として取り上げられました。いずれも第4回入札に向けた前提条件の議論です。
この見直しは系統用蓄電池の事業者にどう影響しますか?
供給力提供開始期限や資本コストの前提が変わると、案件の成立時期や採算の前提が変わります。第4回入札に応札予定のBESS・LDES事業者は、自社案件への影響を確認しておく必要があります。
編集部の見立て(独自分析)
独自分析
- 第2回は具体的な価格ではなく供給力提供開始期限・資本コストという「入口の前提条件」を先に固める回であり、第4回入札の予見性を高めることを狙った設計と読める。
- 容量市場で追加オークション調達分をメインで全量調達する変更は、追加オークションへの依存を減らし、メイン一本で調達確度を上げる方向であり、容量市場参加者は約定量の見通しを立てやすくなる可能性がある。
- 需給調整市場の募集量・上限価格の見直しの要否は、系統用蓄電池の調整力収益の前提に直結する論点であり、検証結果を踏まえた今後の議論を継続注視すべきである。
※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。各論点は審議中で今後変更される可能性があります。
この記事のまとめ
電力安定供給WG第2回(2026年6月5日)は、2027年1月予定の第4回 長期脱炭素電源オークションに向けた制度見直しを継続議論した。長期脱炭素側ではLNGの募集量・供給力提供開始期限、LDESの供給力提供開始期限、資本コスト、相対契約の規律が論点。容量市場は追加オークション調達分(H3需要の2%分)をメインで全量調達する案を確認し、需給調整市場は前日取引化後の実績を検証して募集量・上限価格の見直しの要否を議論した。いずれも第4回入札の具体案を詰める前提づくりの段階である。
編集体制
執筆
BESSNEWS編集部
系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。
監修
BESS NEWS編集長
系統用蓄電池の制度・市場設計を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。
出典(一次情報)
- 資源エネルギー庁 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会 電力安定供給ワーキンググループ 第2回(2026年6月5日)資料4「長期脱炭素電源オークションについて」・資料5「容量市場について」・資料6「需給調整市場について」・参考資料4「容量市場における入札ガイドライン(案)」
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/jisedai_kiban/stable_power_supply_wg/index.html - 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/02_政策・制度(経産省・エネ庁・監視委)/エネ庁_電力安定供給WG/第2回/20260605_エネ庁_電力安定供給WG第2回_資料4_長期脱炭素電源オークションについて.pdf ほか(資料5・資料6・参考資料4)
本記事は2026年6月5日公表の一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。各論点は継続議論の段階であり、今後の審議で変更される可能性があります。
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