作成日:2026.05.08
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市場・価格
※本記事は、作成日または最終更新日時点で公表されている制度情報・数値・資料に基づいて作成しています。
容量市場のNet CONE見直しと「2段階シングルプライス(案A-2)」 ― ペナルティレート90時間化と蓄電池への影響
制度検討作業部会の第114回会合に『第二十五次中間とりまとめ(案)』(全50ページ)が提出された。容量市場のNet CONE(指標価格)を最新の発電コスト検証WG値(約2.05万円/kW・上限約3.1万円/kW)へ見直す方向を整理し、2026年度メインオークションでは影響緩和措置として「2段階シングルプライス(案A-2)」を採用。ペナルティレートZは30時間から90時間へ見直される。
このページの要点
- Net CONEを約2.05万円/kW・上限価格(1.5倍)約3.1万円/kWへ見直す方向(最新の発電コスト検証WG値を反映。従来は2015年時点値・LNG建設費は従来比約2.2倍)。2026年度メインオークションは案A-2(指標価格以上を2段階目のシングルプライスとする)を採用。
- ペナルティレートZを30時間から90時間へ見直し(2025年度実需給から既契約分にも適用。2024年度4〜9月分の供給力提供通知ペナルティは半額減免)。
- 第6回メインオークション(2029年度実需給)は約定総容量約1億6,608万kW・約定総額約2兆2,094億円・総平均約13,303円/kW(過去最高・全エリアで指標価格超)。2026年度・2027年度実需給向け追加オークションの開催が決定した。
出典:第114回制度検討作業部会 資料3 第二十五次中間とりまとめ(案)(令和8年5月・全50ページ)。
発電所の「4年後の供給力」を買い取る容量市場のルール大改訂案である。年々上がる維持費に合わせて買取の基準価格(Net CONE)を引き上げる一方、小売の負担が急増しないよう約定方式を2段階に分ける。蓄電池も応札する市場の値付けと罰則のルールが変わる。
容量市場のNet CONE見直しと2段階シングルプライス(案A-2)
指標価格の基準を最新コストへ引き上げつつ、小売負担の急増を約定方式で緩和する。
Net CONE(指標価格)は従来2015年時点値が使われてきたが、最新の発電コスト検証WG(2025年2月)の値を反映すると約2.05万円/kW・上限価格(1.5倍)約3.1万円/kWとなる。LNG建設費が従来比約2.2倍に上昇しており、指標性維持の観点から見直しに賛同が多数を占めた。
一方、小売電気事業者の容量拠出金負担の急増への配慮が必要とされ、2026年度メインオークションでは案A-2(指標価格でシングルプライス領域に上限を設定し、指標価格以上を2段階目のシングルプライスとする方式)が採用された(第113回作業部会で整理)。案A-1(指標価格以上のマルチプライス化)や指標価格の在り方の見直しは、2027年度メインオークション以降の継続検討とされた。
ペナルティレートの90時間化とオークション結果(第6回メイン・追加)
広域予備率の考え方見直しに伴い、リクワイアメント未達時の経済ペナルティが変わる。
図1:ペナルティレートZの90時間化と直近オークション結果(第6回メイン・2026年度追加)
出典:第114回制度検討作業部会 資料3 第二十五次中間とりまとめ(案)。半額減免は2024年度限りの例外。
ペナルティレート(Z時間)は、広域予備率の考え方見直しに伴い従来の30時間から90時間へ見直される(第62回容量市場の在り方等に関する検討会で整理)。2025年度実需給から既契約分にも適用され、2024年度4〜9月分の供給力提供通知ペナルティは本来半数想定だったとして半額減免(2024年度限りの例外)とされた。
オークション結果も整理された。第6回メインオークション(2029年度実需給)は約定総容量約1億6,608万kW・約定総額約2兆2,094億円・総平均約13,303円/kWで過去最高となり、全エリアで指標価格を超えた。2026年度実需給向け追加オークションは約830万kW・約582億円・総平均約7,017円/kWで約定し、2026年度・2027年度実需給向けの追加オークションはいずれも供給力不足のため開催が決定された。
このほか、目標調達量に係る諸元見直し(春秋厳気象対応の細分化・計画外停止率の更新・年間計画停止可能量1.9→2.4ヶ月)により目標調達量は+584万kWとなる。非効率石炭火力の稼働抑制措置は中東情勢を踏まえ2026年度は不適用、電源新設は基本的に長期脱炭素電源オークションを通じて進めつつ、10万kW未満の新設枠として容量市場参入の選択肢を残す整理である。
系統用蓄電池の容量収入・応札戦略への影響
値付け・罰則・調達量の3点が同時に動き、収益・リスク設計の前提が変わる。
図2:系統用蓄電池の容量収入・応札戦略への3つの影響(Net CONE引き上げ・案A-2・Z=90時間)
出典:第114回制度検討作業部会 資料3 第二十五次中間とりまとめ(案)。確定した制度ではなく継続検討の論点を含む。
系統用蓄電池は容量市場の応札対象電源であり、本とりまとめ案の影響は大きく3つある。第一に、Net CONE引き上げの方向は、これまで上限価格で非落札だった電源の取り込みを通じて約定価格水準を引き上げ、蓄電池の容量収入の上振れ余地を拡大しうる。第二に、案A-2の採用は指標価格境界付近の応札行動に新たな戦略的インセンティブを生み、入札戦略に影響する。第三に、Z=90時間への見直しは、安定電源のリクワイアメント未達時の収入減リスクを緩和する方向に働く。
実務チェックリスト
- Net CONE約2.05万円/kW・上限約3.1万円/kWへの見直し方向と案A-2を織り込んだ容量収入・応札戦略を再設計する。
- ペナルティレートZ=90時間(2025年度実需給から適用)を安定電源リクワイアメントのリスク評価に反映する。
- 2026年度・2027年度追加オークションの開催と目標調達量+584万kWを踏まえ、追加的な供給力確保機会を確認する。
読者別の緊急度
容量市場価格の上昇方向と制度見直しを今月中に把握しておきたい。
ペナルティレート・約定方式の前提を今週中に確認すべき。
Net CONE見直し・案A-2に直結する応札戦略の再設計のため、直ちに押さえるべき。
よくある質問(Q&A)
Net CONEはどう見直されますか?
最新の発電コスト検証WG(2025年2月)の値を反映すると、Net CONEは約2.05万円/kW、上限価格(1.5倍)は約3.1万円/kWとなります。従来は2015年時点値が使われており、LNG建設費は従来比約2.2倍に上昇しています。
2段階シングルプライス(案A-2)とは?
指標価格でシングルプライス領域に上限を設定し、指標価格以上の応札を2段階目のシングルプライスとして扱う約定方式です。小売の容量拠出金負担の急増を抑える影響緩和措置として、2026年度メインオークションで採用されました。
案A-1はどうなりましたか?
案A-1(指標価格以上のマルチプライス化)と指標価格の在り方の見直しは、2027年度メインオークション以降の継続検討とされました。
ペナルティレートZはどう変わりますか?
広域予備率の考え方見直しに伴い、30時間から90時間へ見直されます。2025年度実需給から既契約分にも適用され、2024年度4〜9月分の供給力提供通知ペナルティは半額減免(2024年度限りの例外)です。
第6回メインオークションの結果は?
2029年度実需給向けで、約定総容量約1億6,608万kW・約定総額約2兆2,094億円・総平均約13,303円/kWと過去最高になり、全エリアで指標価格を超えました。
蓄電池の容量収入にはどう影響しますか?
Net CONE引き上げの方向は約定価格水準を引き上げ、容量収入の上振れ余地を広げえます。案A-2は指標価格境界付近の応札行動に影響し、Z=90時間化はリクワイアメント未達時のリスクを緩和する方向です。
編集部の見立て(独自分析)
独自分析
- Net CONE引き上げ(約2.05万円/kW・上限約3.1万円/kW)と案A-2採用の組み合わせは、容量市場の値付けと小売負担のバランスを巡る最重要論点である。
- Z=90時間への見直しは、安定電源(蓄電池含む)のリクワイアメント未達時の収入減リスクを緩和し、市場退出を抑制する設計と読める。
- 電源新設は長期脱炭素オークションが基本としつつ10万kW未満の新設枠として容量市場参入の選択肢を残す整理は、中小規模の新設蓄電池の参入経路として注視点である。
※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。
この記事のまとめ
第二十五次中間とりまとめ(案)は、容量市場のNet CONEを約2.05万円/kW・上限約3.1万円/kWへ見直す方向を整理し、2026年度メインオークションでは影響緩和措置として2段階シングルプライス(案A-2)を採用した。ペナルティレートZは30→90時間へ見直され(2025年度実需給から適用)、第6回メインオークションは約定総額約2兆2,094億円・総平均約13,303円/kWと過去最高を記録。目標調達量は諸元見直しで+584万kWとなり、2026年度・2027年度の追加オークション開催が決定した。蓄電池の容量収入・応札戦略の前提が大きく変わる。
編集体制
執筆
BESSNEWS編集部
系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。
監修
BESS NEWS編集長
系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。
出典(一次情報)
- 総合資源エネルギー調査会 制度検討作業部会 第114回 資料3『第二十五次中間とりまとめ(案)』(令和8年5月・全50ページ・2026年5月8日)
https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/system_kentou/ - 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/02_政策・制度(経産省・エネ庁・監視委)/(2026-05-08 資料3 第二十五次中間とりまとめ(案))
本記事は2026年5月8日公表の一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。制度内容は今後の審議等で変更される可能性があります。
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