作成日:2026.04.01
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※本記事は、作成日または最終更新日時点で公表されている制度情報・数値・資料に基づいて作成しています。
北海道で蓄電池を需給調整市場に出す前に ― 2入札方式不可・専用線受口上限、5つの参入制約を読み解く
北海道電力ネットワークは2026年3月12日付(第1版)で、北海道エリアの需給調整市場参加・余力活用契約締結にあたっての同社システム上の参入制約を公表した。単体ネガポジリソース(揚水・蓄電池)の2入札方式不可、専用線オンラインの受口数上限、20超のリスト・パターン不可、片方向のみの余力活用不可、専用線オンラインでの出力変化量指令不可 ― 蓄電池の市場参入・運用に直接効く制約が整理されている。
このページの要点
- 北海道電力NWが2026年3月12日付(第1版・全8ページ)で、北海道エリアの需給調整市場参加・余力活用契約締結にあたっての同社システム上の参入制約を公表。該当する参入方法は受入不可とされる。
- 単体ネガポジリソース(揚水・蓄電池)の2入札方式は対応不可(1入札方式のみ)。専用線オンラインの受口数上限(2028年度末目途で拡張検討中)、1リソース20超のリスト・パターン不可(2026年度末改修予定)等の制約を明示。
- 余力活用契約の上げのみ/下げのみは原則不可(原則上げ下げ両方・片方向希望は事前窓口連絡)、専用線オンラインでは出力変化量指令が選択不可など、蓄電池の市場参入・運用に直接影響する。
出典:北海道電力ネットワーク『北海道エリアにおける需給調整市場参加および余力活用契約締結にあたっての制約事項について』第1版(2026年3月12日)。
北海道で蓄電池を需給調整市場・余力活用に出す際の、現状のシステム上の機械的な縛りの一覧である。システムが未対応のため、蓄電池ならではの2入札方式が使えない等、参入方法の自由度がいくつか制限されている。
北海道エリアの需給調整市場・余力活用の参入制約とは
通信方式・余力活用契約の有無等により、商品別のシステム上の参入制約があり、該当する参入方法は受入不可となる。
北海道電力ネットワークは2026年3月12日付(第1版・全8ページ)で『北海道エリアにおける需給調整市場参加および余力活用契約締結にあたっての制約事項について』を公表した。通信方式・余力活用契約の有無等により、北海道エリアへ参入するリソースには商品別のシステム上の参入制約があり、該当する参入方法は受入不可とされる。主な制約は次の5点である。
通信方式・余力活用契約の有無等により、北海道エリアへ参入するリソースには商品別のシステム上の参入制約があり、該当する参入方法は受入不可とする。
— 北海道電力ネットワーク 制約事項資料 第1版(2026年3月12日)蓄電池に効く制約(2入札方式不可・専用線受口・片方向不可)
5つの制約のうち、蓄電池の入札方式・通信方式・契約方向の選択肢を直接狭めるのはこの3系統である。
図1:蓄電池に効く3系統の制約(入札方式・通信方式・契約方向)
出典:北海道電力ネットワーク『北海道エリアにおける需給調整市場参加および余力活用契約締結にあたっての制約事項について』第1版(2026年3月12日)/揚水・蓄電池ガイド第3版、取引ガイド第8.1版、余力活用ガイド第3版。
単体ネガポジリソース(揚水・蓄電池)の2入札方式が使えない
単体ネガポジリソース(揚水・蓄電池)の2入札方式には対応しておらず、1入札方式のみとなる(出所:揚水/蓄電池ガイド第3版)。2入札方式が使えないことは、上げ・下げを別々の価格で入札する高度な運用ができないことを意味し、蓄電池の上げ・下げ両方向の収益最適化に直接の制約となる。
専用線オンラインの受口数上限と出力変化量指令の不可
系統接続申込・専用線オンライン化工事申込の増加により、専用線オンラインの受口数は上限に近づきつつある。2028年度末目途で段階的拡張が検討されており、拡張前に上限へ到達した場合は調整電源としての参入を待つことになる。また、専用線オンラインの場合は出力変化量指令が選択不可である(出所:取引ガイド第8.1版)。
余力活用契約の片方向(上げのみ/下げのみ)は原則不可
余力活用契約では上げ調整のみ・下げ調整のみの契約は原則不可で、原則として上げ調整および下げ調整の両方を選択する。片方向を希望する場合は事前に窓口への連絡が必要となる(出所:余力活用ガイド第3版)。特定方向の調整力提供に特化したい事業者の戦略に影響する制約である。
このほか、1リソースあたり20パターンを超えるリスト・パターンにも対応不可であり、多数のパターンを使い分ける運用を予定する場合は、後述の改修予定(2026年度末)を踏まえた計画が必要になる。
改修・拡張の時期と参入計画への織り込み方
制約の一部には解消の予定時期が明示されており、参入時期の設計材料になる。
図2:制約の解消・緩和に関する予定時期
出典:北海道電力ネットワーク『北海道エリアにおける需給調整市場参加および余力活用契約締結にあたっての制約事項について』第1版(2026年3月12日・全8ページ)。時期はいずれも同資料時点の予定・目途。
本資料の制約は恒久的なものばかりではない。リスト・パターンの制約はマスタパターンを除き499パターン登録可能となるよう2026年度末の改修が予定され、専用線オンラインの受口数は2028年度末目途で段階的拡張が検討されている。改修・拡張の予定時期が、北海道での蓄電池の市場参入・運用開始のタイミングを左右する。
北海道エリアで系統用蓄電池を需給調整市場・余力活用に投入する事業者にとって、入札方式(2入札方式不可)・通信方式(専用線オンラインの受口上限・出力変化量指令不可)・契約方向(片方向不可)の選択肢が直接制約される。とくに専用線オンライン受口の上限到達は参入そのものを遅延させうる点に注意が必要だ。
- 北海道で蓄電池を需給調整市場・余力活用に参入する事業者は、2入札方式不可・専用線オンライン受口上限・片方向不可等の制約を前提に、入札方式・通信方式・契約方向を設計する。
- 専用線オンラインでの参入を計画する場合は、受口数の空き状況と拡張時期(2028年度末目途)を窓口に確認し、参入時期を調整する。
- 20超パターン運用や片方向余力活用を要する場合は、改修予定(2026年度末)・事前窓口連絡の要否を踏まえて運用計画を立てる。
読者別の緊急度
北海道での市場参入制約として概要を把握すればよい。
EMS・入札設計担当は2入札方式不可・通信制約を今週中に確認すべき。
参入可否・運用設計に直結するため、直ちに押さえるべき。
よくある質問(Q&A)
この制約事項はどのような資料ですか?
北海道電力ネットワークが2026年3月12日付(第1版・全8ページ)で公表した、北海道エリアの需給調整市場参加・余力活用契約締結にあたっての同社システム上の参入制約をまとめた資料です。通信方式・余力活用契約の有無等により商品別の参入制約があり、該当する参入方法は受入不可とされます。
北海道で蓄電池の2入札方式は使えますか?
使えません。単体ネガポジリソース(揚水・蓄電池)の2入札方式には対応不可で、1入札方式のみとなります(出所:揚水/蓄電池ガイド第3版)。
専用線オンラインの受口数上限とは何ですか?
系統接続申込・専用線オンライン化工事申込の増加により専用線オンラインの受口数が上限に近づきつつあり、2028年度末目途で段階的拡張が検討されています。拡張前に上限へ到達した場合は、調整電源としての参入を待つことになります。
リスト・パターンにはどのような制約がありますか?
1リソースあたり20パターンを超えるリスト・パターンには対応不可です。マスタパターンを除き499パターン登録可能となるよう2026年度末の改修が予定されています(出所:取引ガイド第8.1版・2026年3月14日)。
余力活用契約で上げ調整のみ・下げ調整のみは選べますか?
原則不可です。原則として上げ調整および下げ調整の両方を選択します。片方向を希望する場合は事前に窓口へ連絡が必要です(出所:余力活用ガイド第3版)。
専用線オンラインで出力変化量指令は使えますか?
使えません。専用線オンラインの場合は出力変化量指令が選択不可とされています(出所:取引ガイド第8.1版)。
編集部の見立て(独自分析)
独自分析
- 単体ネガポジリソース(揚水・蓄電池)の2入札方式不可は、上げ・下げを別々の価格で入札する高度な運用ができないことを意味し、蓄電池の市場収益最適化に直接の制約となる。
- 専用線オンラインの受口数上限は、北海道で蓄電池の系統接続・オンライン化申込が増えていることの裏返しであり、拡張完了(2028年度末目途)前は参入待機リスクがある。
- 余力活用契約の片方向(上げのみ/下げのみ)原則不可は、特定方向の調整力提供に特化したい事業者の戦略に影響し、希望時は事前の窓口協議が必要になる。
※本ブロックは一次資料の事実に基づく編集部の見立てであり、確定情報ではありません(2026年7月時点)。
この記事のまとめ
北海道電力ネットワークは2026年3月12日付(第1版・全8ページ)で、北海道エリアの需給調整市場参加・余力活用契約に関する同社システム上の参入制約を公表した。単体ネガポジリソース(揚水・蓄電池)の2入札方式不可(1入札方式のみ)、専用線オンラインの受口数上限(2028年度末目途で段階的拡張を検討)、1リソース20超のリスト・パターン不可(2026年度末改修予定・499パターン登録可能に)、余力活用契約の片方向原則不可(片方向希望は事前窓口連絡)、専用線オンラインの出力変化量指令不可の5点が、蓄電池の入札方式・通信方式・契約方向の選択肢を直接制約する。改修・拡張の予定時期を織り込んだ参入計画の設計が必要である。
編集体制
執筆
BESSNEWS編集部
系統用蓄電池の制度・市場・ファイナンスを一次資料に基づき解説する専門編集チーム。
監修
BESS NEWS編集長
系統用蓄電池の制度・系統運用を専門とする社内専門家。本記事の制度記述・数値を確認。
出典(一次情報)
- 北海道電力ネットワーク『北海道エリアにおける需給調整市場参加および余力活用契約締結にあたっての制約事項について』第1版(2026年3月12日・全8ページ)
https://www.hepco.co.jp/network/(北海道電力ネットワーク 需給調整市場) - 保存済み一次資料PDF:02.04_蓄電池情報/04_系統・接続(送配電・系統増強)/北海道電力NW/20260401_北海道NW_PDFファイルを開きます。北海道エリアにおける需給調整市場参加および余力活用契約締結にあたっての制約事項について.pdf
本記事は2026年4月1日時点で取得した上記一次資料のみに基づいています(対象日より後の情報は含みません)。改修・拡張の時期はいずれも資料時点の予定・目途であり、変更される可能性があります。
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