作成日:2026.08.28
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規制・許認可・安全
※本記事は、作成日または最終更新日時点で公表されている制度情報・数値・資料に基づいて作成しています。
北陸電力送配電、10月1日から「事業用地の使用権原を証する書類」の提出を義務化
——未提出なら連系予約は取消
北陸電力送配電が2026年10月1日から、非FIT/非FIP電源は連系承諾から2か月以内に「事業用地の使用権原を証する書類」を提出しなければならなくなります。未提出なら連系予約は取消です。
系統用蓄電池は非FIT/非FIP電源なので、この規律に直撃します。北陸エリアでは「先に系統を押さえて、後から用地交渉」という進め方が10月1日以降は成立しません。
根拠は北陸だけの事情ではなく、全国共通の次世代電力系統ワーキンググループの整理です。他9社への横展開を前提に監視すべき案件です(他社の同趣旨の約款変更の有無は今回は未調査)。
連系承諾のタイミングは自社で選べない。だから北陸で蓄電所を計画しているなら、用地の契約は9月中に締結しておくしかない。
1. 何が変わるのか
要点まとめ 3つの変更のうちBESSに効くのは③
北陸電力送配電が託送供給等約款——送配電網を使うときの条件を定めた約款です——を変更しました。変更点は3つあります。
①と②は特別高圧の需要地点、つまりデータセンターのような大口需要側にかかる規律です。③が発電側で、非FIT/非FIP電源——FITやFIPの認定を受けていない電源——が対象になります。系統用蓄電池は通常これに該当するため、この条項の対象そのものです。
発電量調整供給契約(発電した電気を系統に流すための契約)の申込にあたって、連系承諾から2か月以内に事業用地の使用権原を証する書類を出す。出せなければ連系予約が取り消される。それだけの、しかし重い変更です。
2. いつから、どういう順序で効くのか
申請が2026年6月24日、認可が7月22日、適用が10月1日。認可はすでに下りており、適用開始を待つだけの状態です。
3. 系統用蓄電池にどう効くのか
要点まとめ 用地と系統枠の順序が入れ替わる
系統枠の確保競争が激しいエリアでは、「まず接続検討と連系承諾で枠を押さえ、そのあいだに用地を詰める」という進め方が一般的でした。10月1日以降の北陸エリアでは、この順序が使えなくなります。
「事業用地の使用権原を証する書類」が具体的に何を指すのかについて、約款の文言以上の列挙は今回確認できていません。ただ、権原を「証する」書類である以上、賃貸借契約書や売買契約書といった、権利の発生が確認できる書面が想定されていると読むのが自然です。交渉中・覚書段階の書面では通らない可能性が高い——これは編集部の見立てであって、約款に明記された内容ではありません。
4. 北陸にかかる二重の制約
要点まとめ 枠は5件、しかも用地が固まらねば消える
北陸エリアはもともと、一事業者あたりの接続検討数の上限が5件に設定されています(一次情報で確認済み。ただし掲載ページに日付表記がなく、公表日は未確認です)。
枠が5件しかなく、しかも用地が固まっていなければその枠が消える。この2つが重なると、案件の選び方そのものを変える必要が出てきます。
いっぽうで①②は、同じ系統枠を争うデータセンター等の大口需要側にも入金期限と申込取消の規律を入れるものです。発電側だけが締められたわけではなく、枠の滞留を減らす方向には働きます。中立的に見れば、この点はプラスに数えてよいところです。
あなたが取るべき行動
- 北陸エリアで蓄電所を計画しているなら、9月中に用地の契約を締結する。締結できない見込みなら、連系承諾のタイミングを遅らせられないか、地権者との交渉を前倒しできないか、この2つを並行して検討します。
- すでに連系予約を保有している案件を棚卸しする。10月1日時点で「連系承諾済み・用地未確定」の案件がどれかを洗い出し、5件の上限とあわせて優先順位を決めます。
- 受理される書類の範囲を北陸電力送配電に照会する。覚書・基本合意書の扱いなど、判断が分かれる案件は事前に確認しておきます。
- 北陸以外で進めている事業者は、関係する一般送配電事業者の約款変更・お知らせページを確認する。
5. 全国への横展開と、未確定なこと
この変更は北陸固有の判断ではありません。第12回 次世代電力系統WG 資料2は「土地の使用権原提出の要件化=令和8年10月〜」と整理しており、北陸の約款変更はその全国整理を実装したものという位置づけになります。
未確定・注意点
- 「事業用地の使用権原を証する書類」として具体的に何が受理されるのか(契約書の種類の列挙、覚書や合意書の扱い)は、今回確認できていません。
- 他9社が同趣旨の約款変更を行っているかどうかは未調査です。北陸だけが先行しているのか、すでに横並びなのかは確認していません。
- 北陸エリアの接続検討数上限5件は一次情報で確認しましたが、掲載ページに日付表記がなく公表日は未確認です。いつからの運用かは特定できていません。
- ①②は特別高圧の需要地点にかかる規律であり、発電側(蓄電池を含む)には直接適用されません。
よくある質問
系統用蓄電池は「非FIT/非FIP電源」に当たりますか。
FIT・FIPの認定を受けていない電源が非FIT/非FIP電源です。系統用蓄電池は通常これに該当するため、③の規律の対象になります。
提出期限の起算点はいつですか。
連系承諾からです。申込日でも工事着手日でもありません。連系承諾が出た時点から2か月のカウントが始まるため、承諾のタイミングを自社でコントロールできない点に注意が必要です。
期限までに提出できないとどうなりますか。
連系予約が取り消されます。
覚書や基本合意書でも書類として通りますか。
約款上「使用権原を証する書類」とされており、具体的に何が受理されるかは今回確認できていません。権利の発生が確認できる書面が想定されていると読むのが自然ですが、判断が分かれる案件は北陸電力送配電に直接照会してください。
北陸以外のエリアでも同じ規律が入りますか。
本記事の作成時点では未調査です。ただし根拠が全国共通の次世代電力系統WGの整理であり、第12回WG 資料2が「土地の使用権原提出の要件化=令和8年10月〜」と整理していることから、他社でも同趣旨の変更が出る前提で構えるのが安全です。
特別高圧の需要地点にかかる①②は、蓄電池事業者に関係しますか。
直接は適用されません。ただし同じ系統枠を争うデータセンター等の大口需要側にも、入金期限や申込取消の規律が入ったという意味では、枠の滞留が減る方向に働く可能性があります。
まとめ
- 北陸電力送配電が託送供給等約款を変更し、2026年10月1日から適用する。申請は6月24日、認可は7月22日。
- 非FIT/非FIP電源は、発電量調整供給契約の申込時に、連系承諾から2か月以内に「事業用地の使用権原を証する書類」を提出する。未提出なら連系予約は取消。
- 系統用蓄電池は非FIT/非FIP電源であり、この規律の対象。北陸では「先に系統を押さえて後から用地交渉」が成立しなくなる。
- 起算点は連系承諾で、時期を自社で選べない。実務上の分水嶺は9月中に用地の契約を締結できているかどうか。
- 北陸エリアは接続検討数の上限が一事業者あたり5件(公表日は未確認)。枠が限られたうえに用地要件が重なる。
- 特別高圧の需要地点にも、工事費負担金の3か月以内入金と需要家都合による申込取消の規律が入った。
- 根拠は全国共通の次世代電力系統WGの整理。第12回WG 資料2は「令和8年10月〜」と整理しており、他9社への横展開を前提に監視する。
発行・監修
出典(一次情報)
- 北陸電力送配電「託送供給等約款の変更認可について」(2026年7月22日認可)https://www.rikuden.co.jp/nw_press/attach/26072201.pdf
- 北陸電力送配電「託送供給等約款の変更認可申請について」(2026年6月24日申請)https://www.rikuden.co.jp/nw_press/attach/26062401.pdf
- 北陸電力送配電 託送供給等約款 変更認可申請書(2026年10月1日実施)https://www.rikuden.co.jp/nw_soden/attach/takusou20261001.pdf
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